『バベル:リビルド』金銭制度・局票・納税・救護優先権に関する検討記録
論点
バベルにおける金銭制度について、以下を検討した。
- 通貨の信用を何が支えるか
- 給料と配給の関係
- 納税の意味
- 災害時の避難・救護優先権
- B-19地区の切断と住民救護の関係
- 正規住民と外壁民の制度格差
- 局票、納税記録、貢献実績の扱い
1. ユーザー側の初期案
ユーザー
今のところ昇降局と選別局しか定義していないので、信頼される通貨を発行している感がない。
通貨がなければ、交換で価値を生むしかないがいかにも原始的。
金兌換みたいに何かに価値を寄せるのが自然か。
鉄とか銅とか、鉱物に価値を寄せるのもありだよね。
給料と配給の比率
- 配給が主
- 給料はある
職員宿舎費
- 福利厚生
水や電力の個人負担
- 半々
衣服や食料の価格感
- 高い
外壁民の物々交換
- 主流
闇市や中古市場
- 交換レートを自由に変えられる
レイカの金銭管理
- 自分でする
ヒナセが衝動買いできる余裕
- ある
2. 正式通貨を鉱物本位制にする案について
アシスタント
鉄本位や銅本位を、正式な通貨制度の基礎にするのは適さない。
理由は、バベルにおいて鉄や銅が以下の用途を持つ重要資源だからである。
- 構造材
- 配線材
- 配管材
- 補修材
- 機械部品
- 防災設備
貨幣価値を持たせると、都市維持に必要な資材が以下へ流れやすくなる。
- 貯蔵
- 転売
- 盗難
- 無許可解体
- 配線や設備からの抜き取り
また、黒海由来の腐食環境では、金属そのものの保存性にも問題がある。
ただし、外壁民社会において以下が事実上の価値保存手段になるのは自然である。
- 銅線
- 工具鋼
- 軸受
- バルブ
- シール材
- 防腐材
- 使用可能な機械部品
正式経済ではなく、外壁経済や闇市場における準通貨として扱う。
3. 局票の基本定義
アシスタント
正式な通貨は、国家が発行する一般的な貨幣ではなく、
都市機能への請求権
として設計する。
仮称は「局票」とする。
局票の価値は、金や鉱物への交換可能性によって支えられるのではない。
以下の都市機能が、局票を支払手段として受け取ることによって信用が生まれる。
- 昇降網
- 水道網
- 熱供給網
- 電力網
- 配給網
- 医療施設
- 居住管理
- 公共修理
- 登録市場
したがって局票の価値の本質は、
都市が明日も動き、その都市機能が局票を受け取るという信用
にある。
4. 局票の発行主体
アシスタント
昇降局や選別局が、直接通貨を発行する必要はない。
現時点で物語に登場していない都市行政機構や、複数局が共同利用する以下の仕組みが存在すればよい。
- 都市配分台帳
- 都市共通会計
- 局間精算機構
- 住民負担記録
- インフラ利用台帳
発行主体となる第三組織を、すぐに物語へ登場させる必要はない。
物語上は、
すべての局が共通して使用している局票
という状態だけを先に見せても成立する。
5. 配給と給料の関係
ユーザー
配給が主。給料はある。
アシスタント
この方針を採用する。
ただし、配給と給料の役割を明確に分ける。
配給で保障されるもの
- 最低限の食料
- 飲料水
- 標準宿舎
- 最低限の電力
- 最低限の熱
- 基礎医療
- 業務用衣服
- 業務上必要な昇降
- 最低限の生活用品
給料・局票で得られるもの
- 嗜好品
- 追加食料
- 良質な衣服
- 個人用工具
- 娯楽
- 酒や甘味
- 追加給湯
- 追加電力
- 広い部屋
- 個室
- 非緊急医療
- 旅客昇降の優先利用
- 修理、仕立て、理髪などの個人サービス
この世界における給料は、
生存そのものを買うための金
というより、
どのように生きるかを選択するための余剰
として機能する。
6. 職員宿舎
ユーザー
福利厚生。
アシスタント
標準宿舎は福利厚生として支給される。
ただし、すべて無料にするのではなく、以下の段階を設ける。
- 標準的な共同宿舎は職務配給
- 個室は追加負担
- 広い部屋は追加負担
- 水や熱が安定した階層は高額
- 良好な昇降アクセスは高額
- 退職、異動、懲戒によって居住権が変動する
これにより、職を失うことは収入だけでなく、以下を失う危険につながる。
- 住居
- 給水
- 熱
- 電力
- 通勤経路
- 医療アクセス
バベルにおける組織への依存性を表現できる。
7. 水・電力・熱の個人負担
ユーザー
半々。
アシスタント
以下の方式に整理する。
- 基礎使用量までは配給
- 超過分は局票で支払う
- 地区や設備状態によって単価が変わる
- 非常時には追加利用が制限される
- 外壁では正確な個別計測ができない場合が多い
正規居住区では個別メーターがある。
外壁では以下の方式が主流になる。
- 共同料金
- 現物負担
- 共同作業による返済
- 非公式な配管利用料
- 区画単位の分配
長時間のシャワーや大量の電力消費は、明確な贅沢として扱われる。
8. 外壁民の経済
ユーザー
外壁民は物々交換が主流。
アシスタント
外壁経済は、以下の三層構造にする。
1. 局票
正規施設、登録市場、正規業者との取引に使用する。
2. 現物交換
以下が交換対象になる。
- 食料
- 水
- 薬
- 布
- 燃料
- 部品
- 工具
- 防腐材
- 電力
- 労働
3. 信用取引
例:
- 次の工事で返す
- 水が通ったら分ける
- 修理が終わったら部品を渡す
- ボルド班の仕事で返す
- 家族や共同体単位で借りを返す
外壁社会で最も強い価値は、物そのものだけではない。
誰が約束を履行するかという信用
が重要になる。
ボルドの影響力は、技術だけでなく、
ボルドの借りは踏み倒されない
という信用によって支えられる。
9. 闇市と中古市場
ユーザー
交換レートを自由に変えられるのはあり。
アシスタント
採用する。
ただし、完全に無秩序なレートではなく、災害、封鎖、供給不足によって相場が急変する仕組みにする。
価値が変動しやすい物資は以下。
- 淡水
- 浄水フィルター
- 医薬品
- 防腐剤
- 銅線
- 軸受
- シール材
- 工具
- 正規制服
- 通行許可
- 昇降優先枠
- 住民登録情報
- 蓄電装置
- 配給権
- 避難先情報
B-19切断直前には、金属や一般物資より以下の価値が上がる。
- 水
- 移動権
- 昇降枠
- 居住登録
- 避難情報
- 身分証明
- 医療枠
10. レイカの金銭管理
ユーザー
レイカは自分で管理する。
アシスタント
採用する。
ただし、14歳であるため、完全な成人のような資産管理にはしない。
レイカらしい行動例:
- 支給日ごとに用途を分ける
- 少額の出費も記録する
- ナギへ貸した局票を記録する
- 欲しい物のために何か月も貯める
- 小さな無駄遣いを後悔する
- 計算は正確だが、買い物の判断では年相応に迷う
業務能力は高いが、生活感覚まで完全な成人にはしない。
11. ヒナセの衝動買い
ユーザー
ヒナセが衝動買いできる余裕はある。
アシスタント
採用する。
ヒナセは、極端な貧困によって何も所有できない人物にはしない。
技術者として稼ぐ能力があり、局票や現物を得られる。
衝動買いの対象は、以下がヒナセらしい。
- 変わった工具
- 中古の滑車
- 性能不明の機械部品
- 派手な作業用ゴーグル
- 防腐性能の高い衣服
- 甘味
- 水を使う嗜好品
- 生活改善用品
高級装飾品を頻繁に買うより、仕事や生活に近い物へ衝動的に使う。
12. 納税と局票
ユーザー
昇降・水・熱・電力・配給網が、その点数を受け取るという考えは賛成。
つまり、そのために納税したりして、局票をもらうという行動にも繫がる。
アシスタント
基本的な方向性は採用する。
ただし、
納税すれば局票が直接もらえる
という単純な構造ではなく、以下の循環にする。
- 労働、商売、資材供出によって局票を得る
- 水、熱、電力、昇降、配給の追加利用に局票を使う
- 所得、取引、設備利用の一部を都市へ納付する
- 納付履歴や貢献履歴が都市台帳に記録される
- 平時の保障や有事の優先権へ反映される
納税は、国家への抽象的義務ではなく、
都市循環への負担返還
として位置付ける。
13. 納税対象
アシスタント
以下が納税または都市負担の対象になり得る。
- 局票所得
- 商取引
- 事業収益
- 水の超過利用
- 電力の超過利用
- 熱の超過利用
- 昇降利用
- 登録市場の使用
- 資材供出
- 保守協力
- 危険作業への参加
現金的な納付だけでなく、以下も都市への貢献として記録される。
- 労働
- 資材
- 技術提供
- 応急修理
- 災害対応
- 公共設備保守
14. 納税の本質
アシスタント
バベルにおける納税は、
都市との相互扶助契約
に近い。
住民は平時に以下を都市へ返す。
- 局票
- 労働
- 資材
- 技術
- 設備利用料
都市は有事に以下を返す。
- 避難枠
- 医療枠
- 居住枠
- 昇降枠
- 救護
- 失業保障
- 負傷保障
- 最低限の配給
納税者側には、
これまで都市を支えてきたのだから、危機の際には救われるはずだ
という意識がある。
制度側には、
全員を救えないなら、継続的に都市を支えてきた者を優先する
という論理がある。
15. B-19地区の切断と納税者
ユーザー
インフラが死にそうならそちらを優先してB-19地区ごと沈められるというのも自然。
しかし、納税していれば避難救護の優先権があるのも納得できる。
アシスタント
この構造を正式に採用する。
重要なのは、
区画を残す判断
と、
住民を救う判断
を分けることである。
16. 区画選別の基準
アシスタント
区画を維持するか、切断するかは以下で判断する。
- 構造安定性
- 幹構造への影響
- 崩落波及リスク
- 維持費
- 修復可能性
- 循環上の重要性
- 水、熱、電力、物流への影響
- 区画重量
- 支持構造の余命
したがって、納税者が多く住んでいても、B-19を維持することで都市全体が死ぬなら切断される。
B-19が沈められる理由は、
住民の価値が低いから
ではない。
B-19を保持すると都市全体の循環が死ぬから
である。
17. 住民救護の基準
アシスタント
住民の避難・救護優先順位は、以下を総合して決める。
- 納税記録
- 住民登録
- 医療緊急度
- 年齢
- 扶養関係
- 都市維持技能
- 避難可能性
- 既存の受入権
- 災害対応上の必要性
- 継続的な公共貢献
納税者は、区画そのものを救う権利を持つわけではない。
しかし、
区画が切断される際に、避難・救護を優先的に受ける権利
を持つ。
18. 区画選別と住民選別の分離
確定事項
区画を残すか
工学的・都市全体的な判断。
誰を先に救うか
制度的・人道的・運用的な判断。
この二つは別の判断系統である。
したがって、
- B-19は沈められる
- その中の納税者は優先避難対象になる
- 納税者であっても全員救えるとは限らない
- 未登録者でも医療緊急度などで救護対象になり得る
- 都市に重要な技能を持つ者が優先される場合がある
という状況が成立する。
19. 局票残高と納税記録は別にする
アシスタント
以下の三つは別管理にする。
1. 局票残高
日常の支払いに使用できる。
2. 納付・貢献履歴
都市へどれだけ負担を返してきたかを示す。
3. 災害救護資格
避難、医療、居住、輸送などの優先権に関係する。
局票を大量に保有しているだけで、避難枠を無制限に購入できる制度にはしない。
救護優先は、
現在の資産量
ではなく、
登録された継続負担への返礼
として扱う。
20. 危険作業と追加優先権
アシスタント
以下の行為には、追加局票や救護優先点が与えられる場合がある。
- 危険区画での保守
- 黒海近辺の作業
- 崩落対応
- 災害救助
- 配管修理
- 昇降路保守
- 制圧フレーム運用
- 緊急資材供出
これにより、都市は危険な仕事へ人員を集められる。
ただし、これが実質的な貧困者の使い潰しになる危険もある。
21. 制度上の矛盾と外壁民
アシスタント
この制度の最大の問題は、
記録された貢献
と、
実際の貢献
が一致しないことである。
外壁民は以下によって、実際には都市を支えている。
- 非登録労働
- 無許可保守
- 違法配管の維持
- 応急修理
- 共同体内の相互扶助
- 現物供出
- 災害時の自主対応
しかし台帳上では、
- 納税記録なし
- 住民登録なし
- 労働記録なし
- 居住権なし
と判断されることがある。
22. ボルドの制度上の位置
アシスタント
ボルドは、都市の補修や外壁設備の維持に長年関わっている。
実態としては、都市維持への貢献度が非常に高い。
しかし、
- 正規住民記録がない
- 正規納税記録がない
- 労働記録が残っていない
- 非公式な保守活動が多い
ため、台帳上の救護優先度は低い可能性がある。
これは、
都市を実際に支えた者が、都市から支援対象として認識されない
という制度矛盾になる。
23. 物語上の効果
アシスタント
この制度により、B-19切断は単純な貧民切り捨てではなくなる。
都市は区画を切断する。
同時に、都市との契約を履行してきた住民を可能な限り救護しようとする。
それでも以下の者が漏れる。
- 未登録住民
- 非正規労働者
- 記録のない技術者
- 他人名義で暮らす者
- 共同体内でのみ貢献してきた者
- 台帳更新から漏れた者
その漏れを、澪や悠人が見る。
真琴は、区画を切る必要性を理解する。
悠人は、救護台帳から漏れた人間を探す。
澪は、台帳と現実の差を目撃する。
ボルドは、都市に貢献したにもかかわらず記録上存在しない。
制度と人物ドラマを直接接続できる。
24. 現時点での確定事項
局票
- 都市共通の支払単位
- 都市機能への請求権
- 金属本位ではない
- 昇降、水、熱、電力、配給網が価値を支える
- 配給外の選択や余剰消費に使う
配給
- 生存に必要な最低限を保障
- 食料、水、住居、熱、電力、基礎医療など
給料
- 局票で支給
- 嗜好、選択、快適性、個人所有のために使う
納税
- 都市循環への負担返還
- 局票だけでなく労働、資材、技術も対象
- 納税・貢献履歴が都市台帳に残る
災害救護
- 納税者や登録住民は優先権を持つ
- 局票残高だけで避難枠を買うことはできない
- 医療緊急度や技能なども考慮される
区画切断
- 住民の資産や納税額では決まらない
- 都市構造、循環、幹への影響で決まる
- 納税者が多くてもB-19は切断され得る
外壁民
- 物々交換、局票、信用取引を併用
- 実際の都市貢献が台帳に反映されない
- 制度上の救護優先から漏れやすい
25. 制度の核心
バベルにおける金銭・納税・救護制度は、以下の原則で統一する。
都市は、すべての場所を守ることはできない。
しかし、都市を支えてきた者へ、可能な限り返礼しようとする。
それでも記録から漏れる者がいる。
都市は区画を切り、人間はその中から誰かを救おうとする。
局票は金そのものではない。
都市に参加し、都市から生存資源を受け取るための権利
である。
納税は義務だけではない。
都市との相互扶助契約を維持する行為
である。
そしてB-19切断は、納税者を無視した処分ではない。
都市全体を生かすために区画を切り、そのうえで限られた救護枠を配分する判断
である。