第1〜5話の流れと、生活・倉庫・制度・技術の関連資料を踏まえて、60案に広げた。全案に特徴、メリット・デメリット、追加設定、採点を付けた詳細版はこちら。
まず、進の構想は自然につながる。ただ、「発見され、また住居を失う」だけだと、第1〜3話の縮小再演になりやすい。 第6話では、そこに「共同体を守るために、個人の希望まで代弁してよいのか」を加えると、人物が次へ進むと思う。
澪には、報告の結果を予想したうえで提出する選択がある。ボルドには、都市で得た暮らしを望む権利がある。ヒナセには、仲間全員が同じ場所を望むとは限らない、という問題が生まれる。
一方、今回はこの方向だけに収束させず、過去編・恋愛・喜劇・構成実験まで残した。
05-AHは、復旧まで当日の枠に収まる範囲で、A優先→必要箇所の分解→正式な再試験は別機会へという区切りにできる。分解後の復旧確認は残し、原因未確定の事項を引き継ぐ。第6話では試験の続きから離れ、「使っている人への連絡」へ進める。
採点の見方
| 指標 | 評価するもの |
|---|---|
| B:バベルらしさ | 工学・資源・制度・暮らしが結びつき、複数の正しさが衝突するか |
| N:奇抜さ | 既存話数から、主役・題材・語り方がどれだけ変わるか |
| P:人物の変化 | 選択によって関係や今後の行動が変わるか |
| F:第6話への接続 | 現在の積み残しから自然に展開できるか |
各5点。おすすめ R=6B+2N+5P+7F、100点満点。
下表は読みやすく 「B/N/R」 を表示する。P・Fの内訳は詳細版に収録した。Rは「今、第6話に置くなら」の評価なので、意図的な寄り道や特別編は低めになる。
A:正統続編――発見・住居・所属
| 案・特徴 | メリット | デメリット | B/N/R |
|---|---|---|---|
| A01 発見を報告する:澪の正確な報告から、利用停止・移転の検討が始まる | 澪の職務と住民の損失が直結する | 以前の切断を反復しやすい | 5/1/92 |
| A02 安全になった家から出る:補修した倉庫が、都市にも再利用可能になる | 修復と所有の逆説が強い | 都市の横取りだけに見えやすい | 5/2/82 |
| A03 三十六人を、一つの世帯にしない:新しい選択肢を知り、残留・移転の希望が分かれる | 個人の意思と共同体の維持が衝突する | 住民紹介と制度説明が増える | 5/3/96 |
| A04 期限つきの家:補修・点検などを条件に、暫定利用を交渉する | 完全解決せず、次の仕事を残せる | 便利な特例で収めた印象になりやすい | 5/2/89 |
| A05 ボルドの二つの鍵:都市の部屋と共同体、生活の重心を選ぶ | 05-AGの葛藤を直接進められる | 通勤で済むなら偽の二択になる | 5/2/94 |
| A06 迎えに来たのに、帰ってこない:ヒナセの救出に、ボルドが即答しない | 再会と自立を同時に描ける | ボルドが薄情に見える危険 | 5/3/89 |
| A07 住める半分、住めない半分:全面退去ではなく、一部明渡しが必要になる | 間取りが人間ドラマになる | 図面説明が主役になりやすい | 5/3/84 |
| A08 立ち退く側が、次の家を設計する:住民が移転条件と持ち出す設備を決める | 奪われる側の能動性を保てる | 好条件の移転先が簡単に出ると弱い | 5/3/89 |
| A09 報告書に、異議を残す:澪が危険とともに、住民の反対理由も記録する | 職務の中で澪の成長を描ける | 書類を書くだけの正解に見えやすい | 5/3/89 |
| A10 水を止めるのは、住民:別系統への実害を知り、ヒナセが使用制限を提案する | ヒナセにも選別する側の判断が生まれる | 新しい因果の立証が必要 | 5/3/89 |
A03には前提がある。現在の36人は潜伏継続を望んでいる。 最初から都市派がいたことにせず、具体的な仕事・学習機会・居室などを知り、考えが変わる過程を作る必要がある。
B:生活・仕事・共同体を主役にする
| 案・特徴 | メリット | デメリット | B/N/R |
|---|---|---|---|
| B01 初仕事の保証人:ボルドの信用を借りず、自分たちの名で受注する | 05-ACの自立を実績にできる | 順調だと小さな成功談で終わる | 5/3/91 |
| B02 三十六人目の当番:修理より見えにくい炊事・子守りの負担が問題になる | 家の内側の政治を描ける | 啓発的な話になりやすい | 5/3/84 |
| B03 一枚の間仕切り:避難所のプライバシーと換気・退避経路を両立させる | 尊厳と寸法を結びつけられる | 主人公たちの本筋は進みにくい | 5/2/82 |
| B04 直し続けない権利:直せる機器を、あえて手放す | 技術者の成熟を描ける | 対外関係は動きにくい | 5/3/77 |
| B05 誰の工具か:借用品・私物・共用品の境界を整理する | 所属と所有を具体物で語れる | 紛失騒動だけでは小粒 | 5/2/82 |
| B06 一杯の水に値段をつける:生活用水と、仕事に使う水の配分を決める | 生存から経営へ進められる | 会計説明が増えやすい | 5/3/84 |
| B07 地図を売る:経路知識を売るほど、住居の秘密が危うくなる | 外壁の知恵に経済的価値が生まれる | 秘密だけ都合よく隠せると弱い | 5/4/86 |
| B08 学校に行く子、教える子:都市で学ぶ子が、生活技術では教える側になる | 移住の動機を希望から作れる | 教育制度の追加設定が必要 | 5/3/84 |
| B09 休日をつくる工事:誰かが半日いなくても回る設備と当番を作る | 工学を余暇へつなげられる | 自動化だけで解決すると浅い | 5/4/86 |
| B10 帰ってきた名前:行方不明扱いの住民が戻るが、昔の仕事には別の人がいる | 記録上の復帰と生活の復帰を分けられる | 新人物と制度が増える | 5/4/84 |
B09は地味だが、かなりバベルらしい。第5話で「生きられるようになった」後に、**「働き続けなくても生きられるようにする」**話へ進められる。
C:過去編・思春期・育った環境
以下の具体的な過去は、すべて追加設定の案。
| 案・特徴 | メリット | デメリット | B/N/R |
|---|---|---|---|
| C01 三つの初修理:思春期の澪・ヒナセ・セナが、別々の場所で直せないものに出会う | 育った環境を行動で比較できる | 三本が同じ教訓になると作為的 | 5/4/84 |
| C02 はじめての定価:ヒナセは定価販売に、澪は値段の決まらない買い物に戸惑う | 明るい日常から文化差を描ける | 地域差を単純化しやすい | 4/4/73 |
| C03 ボルドが教えなかったこと:若いヒナセが初めて、修理依頼を断る | 技術継承を限界の共有から描ける | 師匠が常に正しい話になりがち | 5/3/82 |
| C04 セナの、操縦しない日:訓練中止で、予定のない一日を過ごす | 傷以前の好みや柔らかさが見える | 一話を支える出来事は弱め | 4/4/78 |
| C05 母のいない買い物:澪が母の好みを思い出せず、自分で生活用品を選ぶ | 喪失後に自分の好みが育つ | 死別時期や養育環境の設計が必要 | 4/3/69 |
| C06 ナギが迎えに来られなかった日:待つ気持ちを隠すレイカを、別の人が支える | 疑似家族の限界と温かさを描ける | 現在の主筋から遠い | 4/3/64 |
| C07 最悪だった最初の共同作業:カイとセナが確認の仕方で衝突する | 現在の短い会話に厚みが出る | 相棒の馴れ初めとして定番 | 4/3/64 |
| C08 若いボルドの、よい工事:喜ばれた更新工事で、別の人が生活を失う | ボルドを澪と同じ立場にも置ける | 現在を全部過去に結ぶと世界が狭い | 5/4/84 |
| C09 二人分の食卓:配偶者がいた頃のマコトの、何でもない夕食 | 決断する人の私生活が見える | 第6話としては寄り道が大きい | 4/4/66 |
| C10 同じ場所の、違う思い出:B-19の同じ店が、澪とヒナセには違う場所だった | 理解しても同一化しない関係になる | 記憶の謎解きに寄ると散漫 | 5/5/81 |
過去編なら、C01が最も広がる。 三人を幼なじみにせず、別々の環境で育った姿を並べられる。
また、過去を「現在の傷の原因説明」だけにしない方がいい。買い物の失敗、憧れ、意味もなく楽しかった時間も入れられる。完全な過去編なら倉庫発見を7話へ送り、6話で発見まで進めるなら現在の冒頭・終幕で挟む。
D:恋愛・親密さ・工学
| 案・特徴 | メリット | デメリット | B/N/R |
|---|---|---|---|
| D01 次の休みに着る服:澪が二着の服を渡し、セナと休日を約束する | 05-R・ABを自然に回収できる | 仕事か恋かの単純な二択に注意 | 4/3/90 |
| D02 許容差:生活道具を一緒に直し、相手の快適さが自分と違うと知る | 工学と親密さが同じ場面に収まる | 比喩を説明しすぎると寓話になる | 5/4/91 |
| D03 好きな人の生活音:静かさや明るさの好みから、一緒に過ごす方法を探る | 塔の音と孤独が恋愛につながる | 関係の段階を飛ばしやすい | 4/4/73 |
| D04 ヒナセとカガリ、二人分の時間:初めて同時に仕事を離れる | 外壁側にも余暇と恋を持たせられる | 周囲への仕事の押し付けに注意 | 5/3/89 |
| D05 ミネの昔の恋と、残った道具:古い補修跡から終わった関係が見える | 大人の恋と生活の継続を描ける | 未設定の恋愛史を大きく足す | 4/4/66 |
| D06「長生きしてくれ」を言い直す:カイとセナが、願いを重荷にしない言葉を探す | 04-Iのその後を描ける | 既存の善意を問題化しすぎやすい | 4/2/81 |
| D07 三人の夕食、四人目の席:友情・恋愛・疑似家族が同じ食卓で交差する | 距離と会話で関係の違いが見える | 人数が増えると散漫 | 4/3/78 |
| D08 届いたけれど、返事がない:短い誘いへの返事を互いに考えすぎる | 通信制約が感情の時間になる | すれ違いの引き延ばしに注意 | 4/3/78 |
| D09 ボルドとミネの台所:戻ったボルドに席はあるが、昔の役割は戻らない | 所属を居心地から描ける | ミネを待つだけの人にしやすい | 5/3/89 |
| D10 見せないための工学:シャワーの次に、着替えや秘密を守る場所を作る | 設備改善が尊厳と思春期に直結する | 入浴の見せ場が目的になると弱い | 5/4/86 |
恋愛+工学なら、D01+D02を推す。
澪が相手のために調整したものが、セナには快適でない。セナも気遣って希望を言わない。そこから二人が聞き直す。恋愛を入れるために新しい大事故を起こさず、技術者らしい親密さを描ける。
恋人関係を確定させるかは別として、双方に「この人と次の時間を過ごしたい」という欲求を持たせたい。
E:ミステリー・旅・一日の事件
| 案・特徴 | メリット | デメリット | B/N/R |
|---|---|---|---|
| E01 閉じ込められた二人:澪とヒナセが小区画から協力して脱出する | 手順と不信を近い距離で描ける | 協力一回で和解すると薄い | 4/2/81 |
| E02 倉庫より先に、子どもが見つかる:保護した子の迎えを通じて住民と接触する | 発見の入口が人を帰す仕事になる | 子どもを都合のよい道具にしやすい | 4/3/78 |
| E03 偽の修理伝票:整備済み部品の履歴を追う | 技術的確証と人への信用が交差する | 第5話の調査と似る | 5/3/84 |
| E04 薬を届ける遠回り:定期便の別ルートを探し、知らない生活に出会う | 塔の広さと物流を描ける | 新人物・地域が増える | 5/3/77 |
| E05 音のする空室:澪が異常音ではなく、生活の音だと気づく | 05-AFの感覚を発見へつなげられる | 音だけで事情まで当てると超能力 | 5/4/93 |
| E06 市場の一日だけの停電:休日と納品が同じ不便に出会う | 都市と外壁が客・働き手として交わる | 偶然の集合が過密になりやすい | 5/3/77 |
| E07 古い保守路の遠足:レイカとボルドが異なる知識で道を読む | 世代差を旅の楽しさにできる | 既存の調査関係をなぞりやすい | 5/3/77 |
| E08 取り返せない荷物:通路を通らない大切な作業台を、切って運ぶか選ぶ | 寸法と記憶が不可逆な選択になる | 移動理由が弱いと作為的 | 5/3/84 |
| E09 水を止めた犯人はいない:各者の妥当な予定変更が重なって供給が途切れる | 単独犯のいない運用問題を描ける | また水の問題が続く疲れが出る | 5/4/86 |
| E10 使われなかった救助計画:住民と避難計画を直すが、事故は起きない | 平時に備える仕事の価値が出る | 防災教材に見えやすい | 5/4/79 |
E05は単独の一話というより、倉庫発見の入口として強い。 数値をもう一度追うのでなく、澪が人の暮らしに気づく場面へ変えられる。
F:構成実験・かなり変わった方向
| 案・特徴 | メリット | デメリット | B/N/R |
|---|---|---|---|
| F01 三十六人の一票:都市への接触を話し合う、一晩の会議劇 | 声を持つ人・持たない人を描ける | 発言者が多いと破綻する | 5/4/91 |
| F02 澪が出てこない第六話:サトウ・イノウエ・ミネらの一日を追う | 主役の外にも生活があると示せる | 倉庫発見は原則7話へ送る | 5/4/79 |
| F03 修理依頼だけでできた一話:依頼票・伝言・貸出票で進行する | 文書の行間から暮らしが見える | 顔と感情が見えにくい | 5/5/76 |
| F04 一本の管の旅:水を手掛かりに、鍋・計器・寝室をつなぐ | 循環する舞台そのものが主役になる | 人物の意思決定が弱くなる | 5/5/71 |
| F05 三回語られる訪問:同じ倉庫訪問を澪・ボルド・ヒナセの順に描く | 同じ事実の意味が変わって見える | 三回繰り返す冗長さがある | 5/5/93 |
| F06 明日の生活を、模型にする:残留・移転の模型から、各人の想像する未来へ飛ぶ | 希望の違いを場面として見せられる | 想像と確定した未来の区別が必要 | 5/5/93 |
| F07 何も壊れない日:湯を待ち、服を選び、洗濯するだけの日 | 第5話の成果を十分に喜べる | 関係変化がないと停滞する | 5/4/74 |
| F08 失敗した祭り:復旧祝いが失敗続きで、小さな贈り物だけが完成する | 喜劇と祝祭、遊ぶための工学 | 潜伏中の無謀な騒ぎにしない工夫が要る | 4/5/75 |
| F09 塔が歌う:作業の声・足音・配管音を音楽的に構成する | バベル独自の音の体験になる | 音響依存が強く、形式が前に出る | 4/5/63 |
| F10 二十年後の見学者:未来の展示と、当時の実際の会話が食い違う | 記録と時間の主題を大きく広げる | 未来を固定し、現在の緊張を弱める | 3/5/55 |
いま残したいのは、この六案。
| 狙い | 推す案 | 理由 |
|---|---|---|
| 正統な続編 | A03 | 住居問題を、個人の意思と共同体の問題へ進められる |
| ボルドを深める | A05 | 都市での暮らしを好ましく思う積み重ねが生きる |
| 思春期を描く | C01 | 三人の環境差を、説明より行動で見せられる |
| 恋愛+工学 | D02 | 技術と感情を一つの場面で動かせる |
| 続編を新鮮にする | F05 | 既存の情報差を、語り方そのものに使える |
| 大胆に変える | F06 | 住民が望む生活を、仮想の場面として描ける |
特に面白いのは、A03の出来事をF05の構成で描く組み合わせ。
澪には「知らせに来た訪問」、ボルドには「隠してきたことが露見する訪問」、ヒナセには「家を査定される訪問」として見える。同じ沈黙でも意味が違う。最後の再訪で、三人がようやく相手に一つ聞き直す。
これなら、進が考えている続編の筋を使いながら、第1〜5話とはかなり違う読み味にできる。
追加した。60本増やして、計120案にした。
前回は「第6話へ接続しやすいか」を重くしすぎた。今回は、まずその事件や場面を見たいかから考えた。ロボット戦、都市規模の事件、遠征、SFホラー、犯罪喜劇、世界の正体が変わる展開まで含めている。
元の60案は残し、追加分をG01〜L10として収録した。全案に見せ場、メリット・弱点、接続案、必要な設定変更、採点を付けてある。
今回は採点も変更した。
- おすすめ点:バベルらしさ20%、振り切り度30%、人物が動く力25%、見せ場25%。
- 接続負担:1〜5。5は世界法則やシリーズの前提まで変える。
- 接続負担は、おすすめ点から差し引かない。
以下の「推/負」は、おすすめ100点/接続負担5段階。前回とは計算式が違うので、点数の直接比較はしない。
G:セナ・カイのロボットアクション
| 案 | 起こること | 推/負 |
|---|---|---|
| G01 落ちる街で、追いかけっこ | 切離しが進む区画で武装機を追う。床が壁になり、さっき通れた道が消える。 | 89/3 |
| G02 敵機を抱いて、街を守る | 倒した敵機が退避路を支える最後の支点になる。敵味方が手を離せなくなる。 | 83/2 |
| G03 昇降路の海賊 | 巨大貨物かごが乗っ取られる。扉が開くたび、違う高さの街が戦場になる。 | 74/3 |
| G04 白い機体を狩れ | セナの機体が盗まれる。本人は慣れない作業機で、自分の白い機体を追う。 | 85/3 |
| G05 一機を二人で動かす | 損傷した一機をセナとカイが分担操縦する。判断が合わないと歩くことすらできない。 | 90/3 |
| G06 機体なしのパイロット | セナが生身で巨大機械の動く区画を抜ける。操縦知識が、自分の身体を守る知識になる。 | 83/2 |
| G07 制服のない防衛隊 | カイが運搬人や修理屋の作業機をまとめる。全員、守りたいものが違って命令に従わない。 | 74/3 |
| G08 都市の底で、巨大機械と戦う | 旧式巨大保守機が再起動し、現役の居住区を撤去対象として扱い始める。 | 84/4 |
| G09 決闘の賞品は居住権 | 作業機の競技に出場する。勝てば仕事と居室が得られるが、対戦相手の故障に気づく。 | 81/4 |
| G10 最後の敵は、味方の無人機 | 正規の指示を遂行する救助機が、人の残る区画を封鎖する。二人は味方の機体と戦う。 | 94/4 |
この中では、G04とG05を特に見たい。
G04なら、いつもセナの身体の延長として見ていた白い機体が、突然怖いものになる。性能では負ける作業機に乗ったセナが、操縦と空間の読みで追い詰める。カイには「機体を撃つこと」と「セナを守ること」が一致しない瞬間を作れる。
G05は、二人の関係を文字どおり一つの身体にできる。序盤はぎこちなく、終盤の一動作だけが綺麗に合う。それだけでかなり強い。
H:都市規模の事件・テロ・政治劇
| 案 | 起こること | 推/負 |
|---|---|---|
| H01 切り離させるテロ | 敵の目的は、都市側に正式な切離しを決断させること。適切に対処するほど相手の狙いへ近づく。 | 94/3 |
| H02 テロリストが先に避難させる | 住民を退避させてから区画を占拠する。人質はいないが、その場所を失うと別の生活が破綻する。 | 84/3 |
| H03 切り離す命令が二つある | 両立しない二つの命令が届く。どちらも偽造ではなく、それぞれの情報では正しい。 | 89/3 |
| H04 都市が二つに割れる日 | 一地区が都市の配分と命令を拒否する。政治的な境界を、生活の配管が越えている。 | 89/4 |
| H05 救助された人質が、犯人だった | 命懸けで助けた人物が事件を動かしていた。救助した相手を、今度は追わなければならない。 | 79/3 |
| H06 公開査問、実演つき | B-19の処理が公開検証される最中、別の危機が起こる。糾弾する側も現在の判断を迫られる。 | 83/3 |
| H07 一日だけの委員長 | 上位者と連絡が取れず、澪が限定的な判断権を引き継ぐ。報告する側が、報告される側になる。 | 83/3 |
| H08 避難民が保守区を占拠する | 救われても生活が戻らない人々が座り込む。悠人は住民も作業員も知っている。 | 83/3 |
| H09 街ごと買いたい男 | 修復資金を出す商会が、地区の仕事と設備を引き受ける。暮らしが改善するほど辞められなくなる。 | 73/4 |
| H10 敵の要求は、ボルド一人 | 占拠事件の要求はボルドとの面会。双方に守られる本人が、自分から会いに行くと言う。 | 79/3 |
H01は、進が挙げた都市構造を使う事件を、かなり広げられる。
澪は第3話を経験しているから、切離しの判断を前より適切に進められる。ところが、その経験を相手に利用される。罠だと分かっても、目の前の危険は消えない。
「犯人を倒す」と「都市をどう扱うか」が別々の課題になるので、セナ・カイの戦闘と澪の判断を並行させやすい。
I:塔の外や、知らない場所へ行く
| 案 | 起こること | 推/負 |
|---|---|---|
| I01 もう一本の塔から来た人 | 別の塔の住民を名乗る人物が現れる。似た規格、知らない紋章。そして迎えの機体が来る。 | 82/5 |
| I02 海底へ行く | セナとカイが黒い海へ潜る。都市の中で頼れた機体の強さが通用しない。 | 89/4 |
| I03 落ちたB-19へ戻る | 資材、私物、人の痕跡を求めて残骸へ入る。昔の壁だった面に立ち、生活空間を歩き直す。 | 94/3 |
| I04 移動する集落 | 巨大保守車両に住む人々と旅をする。停まることが、その集落には生活の喪失になる。 | 86/4 |
| I05 空が見える最上層 | 上へ向かった先は楽園ではなく、自然光の中で放棄されつつある街だった。 | 80/4 |
| I06 都市の腹に、森がある | 用途不明の巨大区画に森と集落がある。住民は救助を求めていない。 | 80/4 |
| I07 廃棄物と一緒に密航する | 捨てられる物を追って、別の市場へ着く。帰りの便は元の場所へ戻らない。 | 74/3 |
| I08 海を渡ってきた都市 | 巨大居住船が接岸する。救助対象であると同時に、都市にない技術と資源を持っている。 | 86/5 |
| I09 無人の居住区に、食事だけが届く | 人のいない部屋へ温かい食事が届き続ける。配送を止めると、別の誰かが困る。 | 84/3 |
| I10 救難信号は、都市の下から | 公式の最下部より下から通信が来る。そこには都市の歴史を違って語る人々がいる。 | 81/5 |
I03は、既存の物語を使いつつ、体験を大きく変えられる。
都市側には回収作業でも、ヒナセには帰郷に近い。セナには戦場の再訪になる。同じ部屋へ入るだけで、三人の見ているものが違う。 そこに探索や大型機の作業を重ねられる。
J:SFホラー・記憶・都市の異常
| 案 | 起こること | 推/負 |
|---|---|---|
| J01 一階多い | 同じ道を通ったはずなのに、帰りだけ一階多い。図面を直しても再発する。 | 77/5 |
| J02 死んだセナから通信が来る | 生きているセナの隣で、彼女の死亡直前らしい通信をカイが聞く。 | 87/5 |
| J03 夜勤の人数が一人多い | 全員が同じ同僚との思い出を持つ。しかし勤務記録には、その人がいない。 | 75/4 |
| J04 機体が持ち主の癖を覚えている | 前の操縦者の動きが残り、セナの機体が誰かに会おうとしているように見える。 | 89/4 |
| J05 眠っている間だけ、街が直る | 毎朝、頼んでいない補修が終わっている。ヒナセの工具も、寝ている間に使われている。 | 86/4 |
| J06 感染するのは、修理の手順 | 修理屋たちが同じ奇妙な補修を始める。都市全体で見ると、別の形が現れる。 | 86/5 |
| J07 倉庫の壁から、返事がある | 家だと思っていた場所に、先に住んでいた存在がいる。住民の頼みに設備が答える。 | 80/4 |
| J08 消えた一時間の共同作業 | 三人の記憶が一時間ない。記録には、三人が忘れることへ同意した証拠がある。 | 91/5 |
| J09 外壁に、生き物が住みつく | 壁一面を覆う巨大群体が育つ。駆除対象を、食料や保温に使う住民も現れる。 | 86/4 |
| J10 救難信号を出しているのは、機械だけ | 人のいない区画で、旧式機械が壊れた仲間を囲み、助けを呼んでいる。 | 84/4 |
J08はかなり違う方向へ行ける。
最初は「誰に記憶を奪われたのか」と考える。ところが自分の署名がある。しかも三人とも同意している。忘れる前の自分の判断を、今の自分は信じるか。 工学的な原因調査とは別の、不気味な共同作業になる。
K:人物を別のジャンルへ放り込む
| 案 | 起こること | 推/負 |
|---|---|---|
| K01 セナが敵側に転職する | 正当な契約で別組織の現場を守るセナ。その前へ都市の部隊を率いたカイが来る。 | 90/3 |
| K02 澪とヒナセ、偽装姉妹になる | 閉鎖された生活圏へ家族を装って入る。生活習慣が違いすぎて、芝居がすぐ崩れる。 | 85/3 |
| K03 結婚式の護衛 | 対立する生活圏を結ぶ式を守る。当人も周囲も別々の思惑を持ち、祝祭が戦場になる。 | 75/3 |
| K04 ヒナセが、都市で大成功する | 仕事・資金・個室を得る。成功するほど共同体に使える時間がなくなる。 | 84/3 |
| K05 レイカの技術が、犯罪に使われる | 誇らしかった成果が事件の資料になる。自分の知識が手を離れた後を知る。 | 83/3 |
| K06 恋人役を頼まれる | 澪とセナが任務で恋人を演じる。任務が終わり、演じなくてよくなってから困る。 | 77/3 |
| K07 本物の恋人が、敵の操縦者 | カイが親しくなった相手を、敵機の無線の声で識別する。 | 80/4 |
| K08 金庫の中に、部屋がある | 開けた巨大金庫の中に洗濯物と食卓がある。保管されていたのは人だった。 | 75/3 |
| K09 ミネが指名手配される | 過去の取引で追われる。容疑は全部が濡れ衣というわけではない。 | 83/3 |
| K10 修理屋たちの大嘘 | 存在しない巨大機械の修理を受注する。詐欺を暴く側が、嘘を実物にする側へ巻き込まれる。 | 80/4 |
K01は、裏切りにしない方が面白い。セナは自分の仕事をしていて、カイも自分の仕事をしている。それでも機体同士では敵になる。
K04も大きく人物を動かせる。これまでは不足や喪失が関係を揺らしたが、今度は欲しかったものが手に入ることで、関係が崩れる。
L:世界の前提まで変える
この辺は、今の正史への採用を急がず、別世界線やシリーズ後半の候補として考えてもいい。
| 案 | 起こること | 推/負 |
|---|---|---|
| L01 第一話が、映画になっている | B-19事件の娯楽映画が公開される。本人たちが、覚えのない英雄的な台詞を見せられる。 | 86/3 |
| L02 都市の終わる一日 | 塔が存続できなくなる未来から第6話を始める。その後に現在へ戻る。 | 91/5 |
| L03 澪が選ばなかった人生 | 外壁で育った澪と、都市職員になったヒナセがいる別世界を描く。 | 82/5 |
| L04 塔から出られる扉 | 金属の通路の先に、草原へ通じる一方向の扉が現れる。ここで生き続ける理由が揺らぐ。 | 88/5 |
| L05 人間が、保守部品だった | 都市の古い保守計画に、人間の系譜や特性が組み込まれている。 | 87/5 |
| L06 都市が、自分で移動する | 止まった建物だと思っていた塔が、別の場所へ移るための装置だった。 | 86/5 |
| L07 死者を一人だけ戻せる | 一人の人格を再現できる。誰を選ぶか、その相手を本人と呼べるかで揺れる。 | 83/5 |
| L08 第六話の主人公は、敵 | 都市へ敵対する人物の生活を追う。最後に、恐ろしい白い機体としてセナが現れる。 | 75/3 |
| L09 都市側が、外壁へ避難する | 拠点を失った澪たちが逃れてくる。今度はヒナセたちが、受け入れる条件を決める。 | 94/4 |
| L10 塔の外側に、もっと大きな部屋がある | 空だと思っていたものが開き、塔全体が巨大な人工空間の中にあると分かる。 | 73/5 |
今回、元の構想を最も面白く反転できるのはL09だと思う。
澪が倉庫を見つける。ただし、検分しに来るのではなく、入れてもらうために来る。
ヒナセが受け入れる人数と条件を考える。ボルドは、都市でできた仲間を救うために共同体への道を示すか迷う。セナは機体を降り、以前救った側の生活圏で世話になる。
元の登場人物を使っても、力関係が大きく変わる。
新章として組むなら、例えば、
G04「白い機体の襲撃」→H01「切離しを狙う事件」→L09「都市側が外壁へ退く」
という流れも作れる。一話に全部詰めず、第6話を発端に数話へ広げられる。
もっと遠くへ振るなら、L06。補修してきた都市そのものが動き始める。増築された居住区も配管も、人々の暮らしも、その動作を想定していない。ロボットを動かす物語が、都市を動かしてよいかという物語へ変わる。 これは接続の難しさを承知で、残しておきたい案だ。
