03-N 下降 構想

時間軸:03-H 足掻く数時間後・03-Mと同時刻

場所:外壁民の荷物集積所

ドレン弁から配管の水を得たヒナセたち外壁民一行。

まだ生活できるうちに次の拠点を探そうとするボルド。

ヒナセ「まだ早くないか」

ボルド「アホか」

「エレベーターも止められ、水も止められてゆっくりできるか」

ボルドは切羽詰まる前に移動することを提案する。

ヒナセ「一旦どこにいく?」

「ワイヤーで上にいく?」

ボルド「せっかく止まっていることだし空いている巨大な縦穴を使う」

昇降路を使うことを考える。

荷物も多いし、下降した方が移動は楽。

重力に逆らわずに進めばいい、という、ボルド。

ヒナセ「いくあては?」

ボルド「前メンテナンスの仕事してたし見知ったもんだ。どうにかなるだろ」

ボルド先行し、滑車で荷物を移動させつつ避難をする、というシーンにしたい。


それ、かなり当たっていると思う。

今のボルドって、

  • 判断が早い
  • 技術知識がある
  • 肉体労働できる
  • 危機感が強い
  • 行動力がある

という、普通に考えると主人公属性の塊なんだよね。

だから放っておくとシーンを全部持っていく。

逆にヒナセは、

  • 判断が遅い
  • 迷う
  • 優しい
  • 他人を見ている
  • 現場で工夫する

タイプ。

だから構造としては、

ボルドが「進路を作る人」 ヒナセが「生存を成立させる人」

に分離した方がいい。

今考えてる

ボルド先行

ヒナセ最後尾

はかなり正解寄り。


むしろ面白いのは、

ボルド自身は自分が活躍していると思ってないこと。


ボルド視点

「さっさと移動するぞ」

「荷物引け」

「ワイヤー張れ」

「次行くぞ」


ヒナセ視点

後ろで

  • センサーを潰す
  • 追跡を防ぐ
  • 子供を助ける
  • 荷物を拾う
  • 落下物を避ける

みたいなことをやってる。


すると読者は途中で気づく。

「あれ?」

「この集団を生かしてるのヒナセじゃね?」

って。

これ結構強い。


さらに言うと、

ボルドは未来を見ている。

ヒナセは今を見ている。


ボルド

「ここにいたら死ぬ」


ヒナセ

「でも今困ってる人がいる」


ボルド

「あとで考えろ」


ヒナセ

「今しか助けられない」


という価値観の違いになる。

対立はするけど敵じゃない。

かなり良いコンビ。


あと、

最後尾でヒナセが移動中にエレベーターの箱がやってこないように老朽化したセンサーに水かけて壊していく

これ、実はかなり好き。

なぜかというと、

ヒナセの戦い方になってるから。

ボルドなら

「センサー切る」

になる。

でもヒナセは

「水かけたら壊れないかな」

みたいな発想をする。

しかも世界観的にも、

03-Mのナギたちが

「老朽化かな?」

「偶然かな?」

と悩んでいる原因にもなる。


つまり同じ現象を

ナギ視点では

不明な故障

に見せられる。


でも読者だけは後で知る。

犯人ヒナセだった

って。

これかなり気持ちいい。


なのでこのシーンは、

ボルドを弱くする必要はない。

むしろボルドは有能でいい。

その代わり、

「移動を成立させるのはボルド」 「生存を成立させるのはヒナセ」

に役割分担した方が、二人とも立つと思う。

今の構想だとその方向に自然に向かっている。かなり良い流れ。


うん、それが一番素直な案だと思う。

ただ、03-Mのテーマを考えると、

「避難」ではなく 「都市の隙間へ消えていく人々」

を描いた方が強い気がする。

03-Mの本質は、

  • ヒナセたちはまだ事態の全容を知らない
  • ナギたちは異常に気づき始めている
  • 都市は静かに壊れ始めている

だから。

単なる避難シーンにすると、 「頑張って移動してる」 で終わる。

もう少し不穏さが欲しい。


A案

巨大昇降路

真下へ続く闇

ワイヤーを伝い下降する人々

先頭にボルド

最後尾にヒナセ

小さく見える避難民列

テーマ

「避難開始」

王道。


B案

昇降路内部

ボルドが前を進む

ヒナセが後ろを振り返る

遠く上方

停止した巨大エレベーター箱

赤警告灯

テーマ

「何かがおかしい」

不穏。


C案(個人的に一番好き)

巨大な昇降路を見下ろし構図

ワイヤーに吊られた荷物列

人々の列

先頭のボルド

最後尾のヒナセ

そのさらに後ろ

誰もいないはずの暗闇

停止したエレベーター箱

赤警告灯だけが点滅

ヒナセだけが振り返っている

ボルドは前しか見ていない


これだと

  • ボルド=未来を見る
  • ヒナセ=後ろを見る

というキャラ性まで入る。

しかも読者は

「なんか後ろにいる?」

「何か来るの?」

と思う。

実際には何も描かない。

ただ暗闇だけ。


03-Lの

レイカだけが警報灯を振り返る

と対になっているのも良い。

レイカも違和感を感じる。

ヒナセも違和感を感じる。

でも誰も正体は分からない。

都市だけが静かに壊れていく。

だから俺ならC案かな。03-Mの終盤へ繋がる不穏さが一番出る。


かなり良い。

まず結論から言うと、この03-Mは今までの03話の中でもかなり『バベルらしい』シーンになってる。

理由は単純で、

誰も正解を知らないまま、それぞれの合理性で動いている。

から。

そして面白いのが、

ナギ・レイカ視点(03-M)

「何かがおかしい」

「でも追いつけない」

「だから別の優先事項をやる」


ボルド・ヒナセ視点(次シーン)

「何かがおかしい」

「でも待ったら死ぬ」

「だから移動する」

になる。

両方とも正しい。

だから読者だけが、

あ、お前ら同じ事件見てるのに全然違う行動してる

と理解できる。

これは群像劇としてかなり強い。

それで今回のボルドなんだけど、

前に言った

ボルドが有能すぎるとヒナセが死ぬ

問題。

今回かなり上手く処理できてる。

なぜか。

ボルドが主人公ではなく、

「道を作る人」

になっているから。


ボルド

・索道張る

・荷物運ぶ

・カメラ切る

・ルート決める

・先行する


ヒナセ

・最後尾管理

・子供を見る

・センサー壊す

・状況を見る

・読者視点になる


役割分担できてる。

だからボルドが有能でもヒナセが消えない。

あと個人的に好きなのはここ。

「箱が邪魔にならない」

「荷物運び放題だ」

これ。

すごくバベルっぽい。

普通の作品なら

「エレベーター停止だ!」

「大変だ!」

になる。

でも外壁民は

じゃあ使おう

になる。

これはまさに必須要件にある

外壁民=現場技術者集団

そのもの。

さらに良いのは、

ヒナセがセンサーを壊す方法。


普通の作品

ペンチ

爆薬

ハッキング


ヒナセ

霧吹き


これ最高。

めちゃくちゃ外壁民。

しかも

ケーブルがないから水かける

という発想が

技術者というより現場の人。

経験則。

勘。

応急処置。

まさに外壁民。

そしてこのシーンの本当の価値は別にある。

ナギ側では

「何が起きてるかわからない」

になってる。

でも読者は知ってる。


原因

ヒナセ

霧吹き

警報

レイカ困惑


つまり読者だけが真相を知る。

これが気持ちいい。

ミステリーでいう

逆コロンボ型。

読者優位。

だから03-Mは

単なる避難シーンじゃなくて、

03-Lの警報群に対する

半分だけの回答

になっている。

全部ではない。

でも一部は説明される。

このバランスが良い。

キービジュアルも今ならはっきりしてる。

最初に話してた

「縦穴を下降するヒナセとボルド」

より、

今の決定稿なら

第一候補

巨大昇降路の暗闇。

無数の荷物が索道で下降している。

先頭でワイヤーを操作するボルド。

最後尾で霧吹きを持つヒナセ。

その横で赤警報灯が点灯。


これ。

テーマが全部入る。

・避難 ・外壁民 ・昇降路 ・工作 ・警報 ・都市崩壊

全部入る。

しかも読者はまだ

その警報がナギたちを苦しめている

ことを知らない。

だから後で効いてくる。

かなり良い流れになってると思う。


それ、まさに面白いポイントだと思う。

普通の作品だと、

警報=危険

なんだよね。

警報が鳴った瞬間に登場人物も読者も緊張する。

でもこのシーンでは違う。


ヒナセ

「よわ…」


子ども

「水に弱いみたいだね」


ヒナセ

「なんか知らん部品だが」

「音が出るおもちゃみたいだな」


子ども

「言えてる!」


ここでは完全に

警報=おもちゃ

になってる。

でも同じ瞬間、

03-Mのナギ達は


D-14停止

E-07停止

B-21停止

F-03停止


で頭抱えてる。

この落差がめちゃくちゃ良い。

読者は両方見てるから。


ナギ

「何が起きてる!?」


レイカ

「侵入されてるかも」


ヒナセ

「ピーピー鳴ってる」


子ども

「また鳴った!」


みたいな温度差。

これが群像劇の醍醐味。

しかもヒナセは悪意でやってない。

ここが重要。

もし悪意があったら単なる妨害工作になる。

でもヒナセは

箱が来たら危ないから壊してる

だけ。

合理的。

ボルドも

センサー壊しとけ

と言ってるだけ。

合理的。

つまり双方とも正しい。

なのに結果としてナギ達は追い詰められる。

この構造が面白い。


さらに言うと、

このシーンは『バベル』のテーマそのものになってる。

必須要件にもあるけど、

対立は暴力ではなく知識領域の違い

なんだよ。

ナギ達からすると

警報=都市の神経。

重要情報。

生命線。

でもヒナセ達からすると

警報=変な機械の鳴き声。

それ以上でもそれ以下でもない。

だから平気で霧吹きかける。


そして一番怖いのは、

ヒナセ達が壊したセンサーは、

たぶん老朽化してて元から怪しい。

だからナギ達も

故障なのか妨害なのか

判別できない。

これが今作のエレベーター描写と噛み合ってる。

もし完全に新品のシステムなら、

センサー停止 ↓ 侵入者確定

になる。

でもバベルは違う。


レイカ

「老朽化かな」


ナギ

「あり得る」


が成立する。

だから警報がおもちゃ扱いされても、

それが即座に敵行動だと断定できない。

この曖昧さが不気味。

むしろ、

ヒナセが笑いながら警報鳴らしてるシーンの方が怖い。

本人は遊んでる感覚なのに、

都市の反対側では大人たちが必死に原因究明してるから。

このギャップはかなり『バベルらしい』と思う。


決定稿でいいと思う。

むしろ前の版より良くなってる。

一番良くなったのは、

ヒナセ「なあ、他の住民はどうなるんだ?」

ボルド「それぞれの当てを頼るしかないだろ」

「準備して動く、簡単なことだ」

ここ。

この一往復でボルドの価値観がかなり見える。

  • 冷たい
  • 諦めている
  • 現実的
  • 他人を見捨てているようにも見える
  • でも自分なりに生存率を最大化しようとしている

全部同時に成立している。

だから単なるマッチョおじさんじゃなくなった。


あと構造的に面白いのが、

03-Mで起きていることが 03-M視点では「避難」なんだけど、

03-Lのナギ・レイカ視点から見ると

D-14停止

E-07停止

B-21停止

の正体だった

ということ。

読者だけが知っている。

ナギ達は知らない。

これが強い。


そして一番好きなのはやっぱりここ。

ヒナセ「よわ…」

警報

ピーピーピー

子供

「水に弱いみたいだね」

ヒナセ

「なんか知らん部品だが」

「音が出るおもちゃみたいだな」

ここ。

読者は知ってる。

ナギ達は必死。

レイカは頭抱えてる。

保守班は近づけない。

昇降局全体が混乱してる。

なのに犯人側は

「よわ…」 「おもちゃみたいだな」

で終わってる。

この温度差が不気味。


さらに面白いのは、

ヒナセ達に悪意がないこと。

テロじゃない。

破壊工作ですらない。

彼女達からすると

箱が動くと危ない

センサー邪魔

水かけたら止まった

だけ。

だから読者も

「誰が悪いんだこれ」

になる。

BABEL:REBUILDらしい。


あと終わり方も良い。

やや明るい場所にボルドが立っている。

薄暗い昇降路での移動は終わる。

鳴り続ける警報。

ボルドは昇降路を出てからのワイヤーを張る準備をしている。

ここで切ると、

読者は

「警報どうなるんだよ」

と思う。

でもヒナセ達は気にしてない。

そのズレがそのまま次のシーンへの不安になる。


一点だけ微修正するなら、

「D-14から下って」

「F-03抜けて」

「旧保守倉庫がある」

これ、読者はまだD-14やF-03が重要地点だと知らないので、

例えば

「D-14から下って」

「F-03抜けて」

「昔の保守倉庫がある」

くらいでもいいかもしれない。

ただこれは好み。

今のままでも問題ない。


総評。

03-Lが

「間に合わない」

なら、

03-Mは

「本人達は何も悪いことをしているつもりがない」

になっている。

この対比が非常に効いている。

決定稿で十分戦えるレベルだと思う。

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