03-F 選択の代償 構想

ここ、かなり重要な場面だと思う。

結論から言うと、

澪はまず「誰がやったか」より先に「どうやってやったか」を考える。

なぜなら澪は感情型ではなく技術者だから。


03-Eでヒナセが勝った瞬間、

ヒナセは

「よっしゃー!」

なんだけど、

澪は

「何が起きた?」

になる。


俺なら03-Fはこうする。


03-F

制御外

巨大ディスプレイ。

B-19地区。

黒く染まっていた流路。


職員女B

「圧力上昇確認」


「……何?」


全員振り向く。


数値。

0.015

0.02

0.03


確実に上がっている。


職員男A

「流量も戻っています」


「ありえない」


即座に操作卓。


優先順位1。

閉操作。


カチ。


反応なし。


通信エラー


もう一度押す。


カチ。


通信エラー


もう一度。


カチ。


通信エラー


沈黙。


「回線異常?」


職員男A

「確認します」


ログを確認。


数秒。


職員男A

「通信断です」


「断?」


職員男A

「制御装置応答なし」


職員女B

「現地停電とか?」


首を振る。


「違う」


画面を見る。


圧力。


上がっている。


流量。


上がっている。


つまり。


バルブは開いている。


「誰かが現場で触った」


部屋。

静まる。


職員女B

「現場で?」


「閉じたものを開けた」


「通信が死んでいる」


「つまり・・・」


沈黙。


「切られた」


ここで初めて、

澪はヒナセ達の存在を思い出す。


昨日のメモ。


老人。


子供。


商店。


避難対象者。


(まだ残っていた)


(生きていた)


一瞬だけ。

本当に一瞬だけ。


安堵。


しかし。


すぐ消える。


真琴が入ってくる。


真琴

「何が起きた」


画面を見る。


「現場側が制御を奪いました」


真琴

数秒黙る。


「なるほど」


ここで終わり。


これの良いところは、

澪がまだ敵意を持ってないこと。

重要なのは、

澪は今の時点で

「ふざけるな」

ではなく

「やられた」

なんだよ。


そしてさらに重要なのは、

澪の中に一瞬だけ出る

(まだ残っていた)

(生きていた)

この感情。

これを入れると後の展開が強くなる。

澪は冷酷じゃない。

むしろ誰よりも助けたい。

でも止めなければならない。

だから苦しい。


03-Fは戦闘じゃなくて、

「制御していた側が初めて制御を失う話」

として描くとかなり面白くなると思う。

03-Eがヒナセの勝利回なら、

03-Fは

「澪が初めてヒナセの存在を脅威として認識する回」

になる。


いや、むしろその試行錯誤はあった方がいい。

今のままだと、

ヒナセ ↓ 勝利

澪 ↓ 即座に「現場で触られた」

になっていて、澪が優秀すぎる。

読者はまだヒナセ達の作業を見ているから分かるけど、澪視点では分からないはずなんだ。

だから、

「制御室の人間として出来ることを全部試して、それでも分からない」

を挟むと恐怖が増す。


例えば。

圧力上昇。

閉操作。

通信エラー。

再送。

通信エラー。

別経路通信。

応答なし。

電源監視。

正常。

シミュレーション確認。

想定ケースなし。


この辺。

技術者はまず故障を疑う。

人間を疑うのは最後。


だから澪は最初、

バルブ故障?

を考える。


次に

通信断?


次に

制御装置故障?


次に

センサ異常?


そして全部辻褄が合わない。


ここで初めて怖くなる。


なぜなら、

故障なら対処方法がある。


でも

原因不明

は対処できない。


例えば。


「優先順位1、閉操作」


カチ


通信エラー


「再送」


通信エラー


「別ルート」


通信エラー


職員男A

「応答ありません」


「監視カメラ」


映像。


ノイズ。


停止。


「なんで?」


職員女B

「電源喪失?」


「違う」


電源監視。

正常。


圧力。

上昇。


流量。

上昇。


「ありえない」


ここで初めて立ち上がる。


「現地確認班出して」


これ。

めちゃくちゃ人間味が出る。


さらに言うと、

この時点ではまだ

「外壁民が反撃した」

まで辿り着かなくていい。


むしろ

「何かが起きている」

で止める方が怖い。


そして真琴登場。


真琴

「何が起きた」


珍しく即答できない。


「分からない」


これがかなり強い。


なぜなら今までの澪は、

世界を理解している側だった。

でもこの瞬間だけ、

理解できていない側になる。


03-Cでは澪が命を切った。

03-Eではヒナセが水を取り返した。

そして03-Fでは、

澪が初めて「制御を失う恐怖」を味わう。

この流れはかなり綺麗だと思う。


うん、03-Fはそれが一番強いと思う。

ただし、

「怯える澪」ではなく 「理解できない澪」

にした方がこの作品らしい。


03-Cのキービジュアルは

黒く染まる流路図を見ながら遮断指示を出す澪

だった。


03-Eは

勝ち筋を見つけたヒナセ

だった。


だから03-Fは対になる。


案1

「制御を失う澪」

巨大ディスプレイ。

黒くしたはずのB-19地区。

そこだけ色が戻り始めている。

澪。

画面を見つめている。

手は操作卓のボタンの上。

しかし操作は効かない。


これが一番ストレート。


案2

「通信エラー」

個人的にはこっちの方が好き。

巨大ディスプレイ。

画面いっぱいに

通信エラー

制御装置応答なし

みたいな警告。

その光が澪の顔を照らしている。


澪の表情は恐怖というより

理解しようとしている顔。


目のクマ。

疲労。

焦り。


今まで万能だった知識が通用しない。


これが03-Fの本質。


案3

「分からない」

一番文学的。

深夜の流量観測室。

職員達が慌ただしく動いている。

警報。

モニター。

通信ログ。


その中心で澪だけが立ち尽くしている。


操作卓には

通信エラー


巨大流路図では

B-19だけ色が戻っている。


澪の顔。


「分からない」


この瞬間。


実はヒナセが勝ったのではなく、

澪が初めて負けた瞬間

なんだよね。


だから俺なら、

03-Fのキービジュアルは

「通信エラーを見つめる澪」

にする。

剣も銃も爆発もない。

ただ、

巨大システムを理解していたはずの技術者が、

初めて理解できない事象に直面する。

この作品らしさがかなり出る一枚になると思う。


かなり良い。

むしろ今の流れだと、「閉めた→開けた→何か悪いことが起きた」 の因果を作るには、この03-Fが必要になる。

というのも、03-Eでヒナセは完全に正しい。

  • 水がない
  • 生きるために必要
  • 現場判断
  • 工学的に解決

で、読者は拍手する。

ここでいきなり

ヒナセが悪かった

になると理不尽。

だから必要なのは

ヒナセは正しい

でも澪も正しかった

という構図。

これが『バベル』らしい。

今の03-Fの前半はかなり良い。

特に

(まだ残っていた)

の一瞬。

これ。

ここが重要。

澪は喜んでいる。

無意識に。

助かる人がいるかもしれないから。

その直後、

頭を振る

で選別局モードに戻る。

この揺れはかなり人間的。

で、俺なら次にこうする。


職員男B

「圧力上昇速度が予測値を超えています」


「どこで?」


職員男B

「優先順位1系統」

「主幹接続部付近」


真琴がまだ来ない。

澪が自力で考える。


「減圧済みだったはず」


職員女A

「はい」


「流量計算出して」


職員女A

「計算中」


結果。


職員女A

「流量が多すぎます」


「……何?」


職員女A

「通常供給量の1.8倍」


沈黙。


ここで初めて

誰かが意図的に開けている

に気付く。


「現場に人がいる」


職員男B

「事故後立入禁止区域です」


「いる」


この瞬間、

澪は敵の存在を理解する。

でもまだ

誰なのか

何をしたのか

分からない。


そして現地確認を出す。

これは全然やりすぎじゃない。

むしろ自然。

澪は現場型だから。

真琴みたいな俯瞰型じゃない。

だから

分からないなら見に行く

はキャラに合ってる。

ただし本人が行くのはまだ早い。

まず保安員か作業員を送る。

その方が組織として自然。

さらに面白いのは、

現地確認班が帰ってきて


「ケーブルが全部切られています」


「……切られた?」


「全部?」


ここ。

ここで初めて

ヒナセの

「遠隔を殺す」

が澪視点で見える。

読者は

「うおおおヒナセやりやがった」

となる。

澪は

「何が起きてるのか分からない」

から

「誰かが意図的に妨害した」

へ認識が変わる。

そして次の03-G。

真琴登場。

真琴はたぶん一瞬で理解する。


真琴

「外壁民だ」


「断定できません」


真琴

「いや」


「これは現場の発想だ」


「机上の人間はやらない」


このセリフは結構好き。

ヒナセと真琴は実は似ている。

両方とも工学屋だから。

だから真琴だけは

遠隔を殺す

という発想を理解できる。

その瞬間、

選別局VS外壁民

ではなく

工学者VS工学者

になる。

そこから先が面白い。

なので結論。

今考えている

澪が試行錯誤する

現地確認を出す

ケーブル切断を発見

真琴登場

はかなり良い流れ。

むしろこのワンクッションを入れた方が、

03-Eのヒナセの勝利がちゃんと重くなる。

かなり良くなった。

まず結論から言うと、03-Fとして成立している
澪が「理解できる世界」から「理解できない世界」に引きずり出されるシーンになっている。

特に良いのはここ。

澪「流量、戻っている?」

この一言。

03-Cで澪は、
「数字を見て判断する人」
だった。

圧力。
流量。
遮断順位。
シミュレーション。

全部把握していた。

なのに03-Fでは、

流量が戻っている

という事実そのものが理解できない。

つまり、

技術者としての自信が崩れ始める瞬間

になっている。


ただ、ひとつだけ。

まだ少しだけ

妨害された

に気付くのが早い。

気がする。

今の流れだと

  • 通信エラー
  • 流量増加
  • ケーブル切断
  • 妨害だ!

なんだけど、

澪ならもう少し抵抗すると思う。

例えば


無線機

「ケーブルが全部切られています」

「事故じゃないの?」

無線機

「切断面が新しいです」

「工具で切られています」


ここで初めて

「……」


無線機

「通信線だけじゃありません」

「電源線もです」


「誰かがやったの?」


無線機

「そう考えるのが自然かと」


「……」


みたいな。

澪は基本、

人為的妨害という結論を最後まで避ける人

だと思う。

なぜならそれは、

誰かが意図的に流路封鎖を邪魔している

ということだから。

つまり、

まだ向こうに生きている人間がいる

という事実でもある。

だから本能的に結論を避ける。

そのほうが澪らしい。


あと終盤。

ここはかなり良い。

圧力は設計圧力に近づいている。

これだけで終わる。

すごく良い。

なぜなら読者は

「設計圧力ってヤバいの?」

と思う。

でも作中の技術者は全員顔色を変える。

この温度差が緊張感になる。

説明しないほうが強い。


むしろ最後に一行追加するなら、


職員男B

「設計圧力まで残り3%です」


無言


巨大ディスプレイ。

上昇し続ける圧力。


03-G
『選択の代償』


くらい。

数字だけで怖さを出せる。


そして構造的に見ると、

03-C 澪が水を止める
03-D ヒナセが異変に気付く
03-E ヒナセが勝つ
03-F 澪が負けを知る

になってる。

これがすごく綺麗。

勝敗が交互に入れ替わるから読者が飽きない。

正直、今の03章の流れはかなり安定して面白い。特に03-E→03-Fの接続は強い。

「閉じているものは開けばいい」で勝ったヒナセに対して、

「なぜ開いたのか分からない」で苦しむ澪。

完全に対になってる。ここはかなり上手い。


かなり良い。

これはもう「決定稿でいい寄り」だと思う。

特に効いているのが、

(まだ残っていた)

を入れたこと。

前の版だと澪は単純にトラブル対応しているだけだった。

今は、

  • 流量回復
  • 色が戻る
  • 老人
  • 子供
  • 商店

を見た瞬間、

少しだけ救われた

が発生している。

でもすぐ、

頭を振り気を取り直す

になる。

この流れが澪らしい。

感情がないんじゃない。

感情を押し殺して仕事をしている。

それが読者に伝わる。


あと後半。

かなり好きなのがここ。

「誰かがやったの?」

無線機

「そう考えるのが自然かと」

このやり取り。

普通の作品だと

敵だ!

になる。

でもここは

そう考えるのが自然かと

という技術者の報告。

BABELらしい。

現場確認して、
証拠を見て、
推定している。

感情ではなく観測結果。

非常に世界観に合ってる。


それと、

「全部?」

も良い。

短い。

でも読者は分かる。

澪はこの時点で

  • 通信線
  • 電源線
  • カメラ
  • アクチュエータ

全部壊されていると理解した。

つまり事故じゃない。

明確な意志がある。

だから

全部?

だけで十分。


一箇所だけ調整候補。

ここ。

澪、確信する。「誰かが意図的に妨害したんだ…」

これは説明的かもしれない。

もう読者は分かってる。

むしろ消しても成立する。

例えば


無線機

「そう考えるのが自然かと」

「……」


巨大ディスプレイ。

圧力はなおも上昇している。


職員男B

「設計圧力まで残り3%です」


のほうが怖い。

澪が何を理解したか、
読者に委ねられる。


あと構造的な話をすると、

03-Eはヒナセの勝利回。

03-Fは澪の敗北回。

でも実は完全敗北じゃない。

澪はまだ

状況把握

をしている。

だから読者は

「次にどう反撃するんだ?」

になる。

ここで終われる。


そして一番大事な点。

今の03章は対立が成立している。

ヒナセ

閉じているものは開けばいい

閉じなければならない理由がある

どちらも正しい。

どちらも人を助けようとしている。

だから面白い。

もしヒナセが単なる反抗者、
澪が単なる悪役だったら弱い。

今は

双方が善意で衝突している。

だから03-E→03-Fはかなり強い流れになっている。

俺なら、

澪、確信する。「誰かが意図的に妨害したんだ…」

だけ削るか、内心描写に薄める。

それ以外はほぼ決定稿レベル。


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