
かなりいい方向だと思う。
今の構成だと、
- 02-Z「切り捨てられる街」=ヒナセの感情
- 02-AA「ボルドの決断」=現実
- 02-AB「真琴の結論」=責任
- 02-AC「幹を守る」=思想
という流れになる。
これ、実は同じテーマを4方向から見せている。
「全員は救えない」
という事実を、
- ヒナセは怒る
- ボルドは受け入れる
- 真琴は決断する
- 澪は苦しむ
で描いている。
構造としてかなり強い。
ただし一つだけ気になる。
今のままだと02-ABと02-ACが少し近い。
両方とも
「真琴が澪に考え方を語るシーン」
になりやすい。
それを避けた方がいい。
俺なら役割を分ける。
02-AB 真琴の結論
これは説明しない。
むしろ仕事をしている。
次々飛んでくる報告。
- 避難対象増加
- B-19通信断絶
- 昇降停止継続
- 電力不足
真琴は感情を押し殺して処理していく。
その中で
B-19地区は切り離し後の扱いに移行
みたいな判断を下す。
澪は横で見ている。
そして思う。
「そんな簡単に決めていいのか」
でも真琴は苦しそう。
そこで初めて澪は気付く。
この人も苦しんでいる。
ただ止まらないだけだ。
という話。
02-AC 幹を守る
こっちは会話。
作戦の一部を澪に任せる。
澪が怖がる。
そこで真琴が言う。
例えば
枝は折れる
葉も落ちる
だが幹が死ねば全部死ぬ
みたいな。
ここで初めて
「選別局の思想」
を語る。
つまり
02-ABで行動を見せる
↓
02-ACで理由を語る
に分離する。
あと個人的に好きなのは、
真琴が澪を見て
昔の自分に似ている
と思うこと。
ただし口には出さない。
読者だけ分かる形。
真琴も若い頃、
全員助けたいと思っていた。
でも何度も失敗した。
だから今の真琴がいる。
これを直接説明せず、
真琴の視線や一瞬の沈黙で表現するとかなり深みが出る。
そして02の締めとしては、
- ヒナセ=怒る
- ボルド=備える
- 真琴=決断する
- 澪=迷う
で終わる。
すると03で
「じゃあ実際に崩壊が始まったらどうする」
へ自然に入れる。
かなり流れは良いと思う。特に02-AAでボルドを単なる達観キャラではなく、「怒っているが動く人間」にできたのは大きい。ここでボルドの格が一段上がった。
その方向が一番いいと思う。
ただ、
「真琴が澪に仕事を教えている」 だと少し弱い。
02-ABの本質は、
澪が真琴の"決断の重さ"を初めて見る
シーンだから。
だからキービジュアルもそこを切り取った方が強い。
候補を並べると。
A案「指揮する真琴、戸惑う澪」
一番ストレート。
巨大モニター群。
真琴は複数の報告を処理している。
澪は横で立ち尽くしている。
長所
分かりやすい
真琴の有能さが出る
短所
少し説明的
絵としては弱い
B案「決断の瞬間」
これがかなり好き。
真琴が端末に手を置いている。
画面には
B-19地区
救助優先度:解除
みたいな文字。
真琴は無表情。
澪だけが驚いている。
長所
テーマ直撃
一枚で話が分かる
短所
ネタバレ気味
C案「澪から見た真琴」
個人的にはこれ。
澪視点。
前景に澪。
奥に真琴。
真琴は大量のオペレーターに指示を出している。
周囲は慌ただしい。
なのに真琴だけ静か。
澪だけが戸惑っている。
これは
この人、本当に平気なの?
という澪の印象を描ける。
後で
真琴も苦しんでいる
が効いてくる。
D案「真琴の横顔」
かなり渋い。
会議室。
画面には被害推計。
真琴は窓の外を見る。
澪は真琴を見る。
真琴の顔には疲労がある。
でも止まらない。
これは
02-ABが
「行動の話」
であることを象徴できる。
語らない。
ただ働く。
俺なら
02-AB → C案
02-AC → D案
にする。
02-ABでは
澪「この人は何も感じてないのか?」
と思わせる。
02-ACで初めて
違う。この人も苦しんでいる
が分かる。
この落差が気持ちいい。
だから今の構想なら、
澪の視線の先で、冷徹に仕事を回す真琴 が02-ABのキービジュアルとして一番強いと思う。
これはかなり良い判断だと思う。
02-AB → 真琴と澪
02-AC → 真琴の思想
に分離したことで、
- 真琴が説明する人にならない
- 澪が受け取る側になる
- 真琴の思想が行動で見える
ようになった。
そしてキービジュアルも、
02-AB 真琴の結論
真琴が仕事を振る。 澪が戸惑う。
これは
「責任の継承」
の絵になる。
02-AC 「幹を守る」
真琴が窓の外を見る。
都市を見る。
その表情だけで、
全員は救えない
を語る。
これは
「決断の代償」
の絵になる。
さらに構成全体を見ると、
02-Z ヒナセの怒り
↓ 02-AA ボルドの決断
↓ 02-AB 真琴の結論
↓ 02-AC 幹を守る
で、
同じ結論に別々の人間が辿り着く構造になってる。
これが非常に強い。
ヒナセ
納得できない
ボルド
納得できないが受け入れる
澪
受け入れられない
真琴
受け入れた上で実行する
全員が同じ問題を見ている。
でも立場によって答えが違う。
これが「バベル:リビルド」の強みだと思う。
もし俺がこの並びを見たら、
02章後半のテーマは
「切り捨てる側も苦しい」
ではなく
「誰も切り捨てたくないのに、切り捨てなければ都市そのものが死ぬ」
だと感じる。
だから02-ACのタイトルもかなり効いてる。
「幹を守る」
という言葉自体が、
枝を捨てる
を含意しているから。
説明しなくても伝わる。
今のところ、02章終盤の流れはかなりまとまってきていると思う。むしろ気になるのは02-ADだな。
ここまで積み上げた感情を、
最後にどんな遠景で締めるかで03章への期待感が大きく変わる。
個人的には、
巨大なバベル全景を映しながら、
無数の灯りのうち、
B-19地区だけが暗くなり始めている――
くらい静かな締め方が一番怖いと思う。
「切り捨てられた」のではなく、
「切り捨てられ始めている」
状態で終わる。これが次章への引きになる。
方向性はかなり良い。
特に気に入ったのは、
真琴が澪を説得しない
こと。
ここまでの流れで真琴が長々と思想を語ると、 どうしても「作者の説明」になる。
でもこのシーンは、
真琴はもう結論を出している
澪はまだ結論を出せていない
という温度差だけを描いている。
だから成立している。
ただ、ひとつだけ強く思う。
今の02-ABは
真琴の結論
というより
澪の戸惑い
に寄っている。
例えばこの部分。
真琴「澪にシミュレーションさせていた」
真琴「これを元に計画を立ててくれ」
ここはすごく良い。
なぜなら、
澪が葛藤している間にも
真琴はもう仕事として使っている。
つまり
結論は出ている
から。
逆に後半。
澪「まず、考え方ですが…」
で終わると、
少し澪側で終わってしまう。
俺なら最後に
真琴の結論が見えるワンカットを足したい。
例えば。
澪が説明を始める。
女Bが頷く。
男Cが資料を運ぶ。
誰も止まらない。
誰も悩んでいない。
仕事が進んでいく。
その間、
真琴は名簿を見ている。
流路封鎖班。
再形成班。
保安群。
補給班。
次々と確認していく。
そして最後。
真琴
「承認する」
端末にサイン。
モニター。
B-19地区。
赤。
真琴
「次だ」
ここで終わる。
これだけで、
真琴が
B-19を切る
という決断を
もう感情ではなく業務として処理している
ことが見える。
だから俺なら、
02-ABのテーマを
「澪が戸惑う」
ではなく
「真琴はもう進んでいる」
に寄せる。
そしてその結果、
次の02-ACで
真琴の内面を少しだけ見せる。
つまり
02-AB → 真琴は止まらない
02-AC → でも本当は痛みを感じている
この順番になる。
その方が02-ACの価値が上がると思う。
今の構成だとかなり良いところまで来ていて、
あと一歩だけ
「真琴が決断した人間である」
ことを強めると、 02-ABというタイトルにさらに近づく気がする。
うん、かなり良くなった。
前の版と比べて、
「真琴が結論を出した」
がちゃんと見えるようになった。
特に効いているのは最後の部分。
構造解析班。
流路封鎖班。
流路再形成班。
荷重制御班。
毒素封鎖班。
記録監査班。
昇降局保安群。
ここが好き。
なぜなら、
B-19地区を切り離すという出来事が、
真琴一人の決断ではなく
巨大な行政システム全体が動き始めている
ことを見せているから。
読者から見ると、
ヒナセはまだ
「なんで説明しねぇんだ!」
と怒っている。
でもその頃、
上では既に
構造解析班も
流路封鎖班も
保安群も
全部動いている。
この温度差が怖い。
あと最後の
真琴「次だ」
も良い。
短い。
説明しない。
感情も言わない。
でも重い。
むしろ俺なら、
ここは感情を見せない方がいいと思う。
もし
真琴の表情が曇る
とか
苦しそうな顔をする
とか入れると、
02-ACでやることを先にやってしまう。
02-ABは
仕事をする真琴
で終わる。
02-ACで初めて
人間としての真琴
を見せる。
だから、
今の
真琴「次だ」
で切るのはかなり良い。
あと構成上面白いのが、
このシーンの主役は実は真琴じゃなくて澪なんだよな。
タイトルは「真琴の結論」だけど、
読者が感情移入しているのは澪。
澪は
B-19が黒くなるシミュレーション
を見る。
↓
切り離し後
という言葉を聞く。
↓
もうそこまで進んでいる
と気付く。
↓
それなのに
自分の考え方を教えてくれ
と言われる。
↓
結局説明してしまう。
つまり澪は、
自分が止めたかった作戦を、
自分の知識で前進させてしまう。
これが結構エグい。
だからこのシーン、
表面上は
「真琴の結論」
だけど、
裏テーマとしては
「澪が初めて共犯者になる瞬間」
にもなっている。
そこがかなり良いと思う。
02-Wで葛藤した意味がちゃんと繋がっている。
正直に言うと、
今でも十分エグい。
むしろ怖いのは、
「住民が死ぬシミュレーションを見た」
じゃなくて、
「何百回も住民を殺して、何百回も生き返らせて、最適解を探している」
ところなんだ。
そこが普通の軍事作戦や災害シミュレーションと違う。
例えばこの部分。
バルブを選ぶ。
黒くなる。
黒い範囲の住民リスト表示。
巨大ディスプレイの生存率表示・避難未確認表示変化する。
ここでもう十分怖い。
なぜなら澪は、
「区域」を見ているんじゃない。
「人」を見ている。
さらに後半。
黒くなった区域。
その中に:
「避難未確認 12名」表示。
澪、見つめる。
指が止まる。
でも、
次のバルブを選ぶ。
ここはかなり良い。
実際、
俺が一番怖いと思うのはここ。
ただ一箇所だけ強化するなら、
「澪が現地観測員だからこそ起こる苦しみ」
を入れたい。
今の描写だと、
避難未確認12名が
匿名の12名なんだよね。
例えば。
黒くなった区域。
避難未確認 12名
住民一覧
佐伯ヨネ 82歳
三浦タケシ 7歳
鈴木キヨ 76歳
とか。
あるいはもっといやらしく、
澪の手書きメモ
「佐伯さん 足悪い」
「夜は動けない」
「タケシくん 母親と二人暮らし」
みたいなのが同じ画面に表示される。
つまり
シミュレータが
死亡率98%
ではなく
澪の知っている人
を消していく。
これをやると読者も澪も逃げられない。
ただし注意点がある。
やりすぎると作品の重心が変わる。
バベル:リビルドは
「個人の死の悲劇」
より
「文明を維持するための選択」
の話だ。
だから俺なら、
12名全員の名前を出したりはしない。
代わりに一回だけ。
例えば。
避難未確認 12名
澪のメモ
「足の悪い老人多い」
を見せる。
あるいは。
「ここに老人多い」
という自分のメモが、
黒くなった区域の中にある。
これだけ。
それで十分。
読者は勝手に想像する。
だから結論としては、
トラウマ描写を足すなら、「死者数」ではなく「澪自身のメモ」を使うべき。
数字を増やすより、
「ここに老人多い」
という澪自身が書いた文字が、
黒い画面の中に沈んでいく。
こっちの方が何倍も後を引くと思う。
全然くどくない。
むしろ、これでようやく02-Nの傷が02-ABまで持続している感じが出た。
今までは、
- 02-N「精神的にきつい作業だった」
- 02-AB「普通に仕事してる」
になりかけていた。
今回の追加で、
- 02-Nで澪は人が住む場所を黒く塗る作業をした
- 02-ABでもその記憶が頭から離れない
- それでも仕事を続けている
になった。
かなり良い。
特にここ。
「ここに老人多い」 ふと自身の書いたメモが黒くなったB-19地区に沈んでいくような感覚にとらわれる。
これがいい。
なぜかというと、
「老人が死ぬ」
と直接言っていない。
でも澪にはそう見えている。
この作品は直接的な死亡描写より、
「理解してしまう」
方が強い。
だからこの表現はバベル・リビルドらしい。
逆に少しだけ気になったのは後半。
澪の心中。シミュレータを操作して、黒くなるたび自分のメモが浮かんでは沈む。
これは少し説明寄り。
同じモチーフを2回使うなら、後半はもっと短くていい。
例えば
澪が説明を続ける。
ふと巨大モニタが目に入る。
黒い区域。
澪は視線を逸らした。
くらいでも伝わる。
読者はもう前半で理解している。
あともう一段だけ踏み込むなら、
ここ。
真琴「次だ」
がかなり強い。
だからその直前に
巨大モニターには、B-19地区が表示されている。
人が住んでいるポイントが赤く写る。
だけじゃなく
赤い点が無数に残っている。
を入れてもいい。
すると
真琴 「次だ」
がさらに重くなる。
つまり真琴は、
赤い点=人
だと理解したうえで言っている。
だから真琴の覚悟も見える。
総合評価。
今の修正版はかなり良い。
トラウマ描写としても過剰じゃない。
むしろ、
02-Nの傷が02-ABまで持続している
という物語的な連続性が生まれた。
俺ならこのまま決定稿にして問題ないと思う。