選別局・昇降局合同事後報告書

B-19地区制御落下作戦


文書管理項目内容
文書番号SEL-LFT/B19-AAR-███
文書種別制御解体・制御落下作戦事後報告
機密等級局内秘/構造・選別指定
保存区分永久保存
作戦対象B-19外壁地区
作戦実施日████年██月██日
報告基準時作戦終了後24時間
作成選別局・昇降局合同
提出先選別執行会議
提出状態提出済み
配布先選別局/昇降局/昇降局保安群/都市構造監査担当
閲覧制限居住者個別情報、構造脆弱性情報および未登録設備情報は指定権限を要する

1.作戦総括

項目結果
作戦名称B-19地区制御落下作戦
作戦結果成功
制御落下方向C-7支柱方向
最終解析上の落下誤差0.8%
都市幹構造への致命的波及確認されず
幹側昇降路の連鎖破壊確認されず
主幹流路の連鎖破壊確認されず
物流支持部の連鎖破壊確認されず
局員死傷者0名
制圧フレーム操縦者2名とも生存
基準計画からの遅延27分
主な遅延要因外壁民ボルドによる三経路荷重逃がし工作
B-19居住登録規模5,000名超
避難・移送記録照合継続中
居住者所在未確認者あり
B-19現地捜索実施不能
遺体・遺留品回収現時点で見込みなし

1-1.総合判定

B-19地区は、事前に指定されたC-7支柱方向へ制御落下した。

切断対象支柱への荷重移送、爆薬孔穿孔、拘束杭設置、油圧テンショナーによる張力制御、段階起爆および落下方向の誘導は、最終許容範囲内で完了した。

B-19地区の落下に伴う、都市幹構造、幹側昇降路、主幹流路および物流支持部への致命的な連鎖破壊は確認されていない。

作戦従事局員および制圧フレーム操縦者の死傷者はゼロである。

以上により、本作戦の主要目的は達成されたものと判定する。

本作戦の中核的な成功判定は、以下に限定される。

  • B-19地区の落下方向を制御したこと
  • 都市幹構造への連鎖破壊を回避したこと

また、作戦結果として、残存都市の主要循環機能が維持され、作戦従事局員の死傷者が発生しなかったことを確認した。

当該判定および確認結果は、B-19地区居住者の生存、死亡、避難完了または所在確認を意味しない。


2.作戦目的

本作戦の目的は、B-19地区を単に切断し、都市外へ落下させることではない。

構造限界へ達したB-19地区の崩壊を制御し、その荷重と運動をB-19地区側で終結させることにより、保持対象として残す都市側への連鎖的な構造破壊を防止することを主目的とした。


2-1.回避すべき最悪事象

作戦前解析において、最も重大な危険として想定された事象は、B-19地区が制御外の方向へ落下し、都市幹構造を引きずって崩壊することであった。

B-19地区は、長期間にわたる違法増築、後付け支持梁、仮設配管、補強材、昇降設備および物流設備によって、都市幹構造と複雑に接続されていた。

これらの接続を十分に分離しないままB-19地区が落下した場合、B-19地区の巨大質量が幹側接続部を引きずり、以下の設備および支持構造へ連鎖的な荷重破壊が及ぶと予測された。

  • 幹側昇降路
  • 昇降レール支持構造
  • 昇降機駆動設備の固定部
  • 主幹流路
  • 水、蒸気、熱媒および空気循環系統
  • 主幹配管支持部
  • 物流路
  • 搬送レール
  • 物流支持構造
  • 隣接区画の荷重支持部
  • 都市幹構造へ接続された補強梁
  • 電力および通信系統の支持部

当該連鎖破壊が発生した場合、B-19地区だけでなく、保持対象として残すことを決定した都市側においても、昇降、流体循環、物流、電力、通信および構造支持が同時または連鎖的に停止する危険があった。

すなわち、本作戦における最悪の結果は、B-19地区そのものの落下ではない。

B-19地区を切り離そうとした結果、残すと決めた都市側まで停止すること。

これを、本作戦における最優先回避事象とした。


2-2.達成すべき状態

最優先回避事象を防止するため、本作戦では以下を達成目標とした。

  1. B-19地区と都市幹構造の荷重接続を段階的に分離する。
  2. 切断対象支柱C-1からC-6までの荷重を、誘導側支柱C-7へ移行させる。
  3. 切断対象支柱への穿孔および起爆装置設置を完了する。
  4. B-19地区の落下方向をC-7支柱方向へ限定する。
  5. 落下開始後の横滑り、回転および幹側への引込みを拘束する。
  6. 幹側昇降路、主幹流路および物流支持部への荷重伝播を許容範囲内に抑える。
  7. B-19地区の崩壊を残存都市へ波及させることなく完了させる。
  8. 作戦従事局員および操縦者を落下範囲外へ退避させる。

2-3.目的達成判定

B-19地区はC-7支柱方向へ落下した。

幹側昇降路、主幹流路および物流支持部への致命的な連鎖破壊は確認されなかった。

残存都市では、作戦終了後、昇降、流体循環、物流および保守機能を順次再開できる状態が維持された。

したがって、

B-19地区の崩壊によって、保持対象である残存都市まで停止する最悪事象は回避された。

と判定する。


3.作戦前状況

3-1.構造状態

B-19地区は、長期間の増築と補修によって、当初の構造設計から大きく逸脱していた。

現場で確認された主な状態は以下のとおり。

  • 設計図に存在しない支持梁
  • 後付け荷重支持部
  • 違法補強プレート
  • 応急溶接部
  • 仮設支柱
  • 非登録配管
  • 非登録昇降設備
  • 仮設物流設備
  • 腐食した支柱表面
  • 防錆塗装の剝離
  • 支柱内部の不均一な補強
  • 複数世代にわたる補修痕
  • 解析上把握されていない荷重経路

このため、現場構造と既存図面の一致率は低く、事前解析のみで全荷重経路を把握することは不可能であった。


3-2.作戦前の危険

B-19地区では、既に構造変位および支柱座屈が進行していた。

作戦を中止または長時間延期した場合、以下の事象が予測された。

  • 支柱群の無制御座屈
  • 地区全体の回転
  • 幹側への横倒し
  • 昇降路側への落下
  • 主幹配管の引抜き
  • 物流支持部の連鎖破断
  • 隣接区画への荷重伝播
  • 都市幹構造の局所破壊
  • 残存都市機能の広域停止

作戦開始時点において、B-19地区を長期間保持し続ける選択肢は存在しなかった。


4.作戦体制

区分担当主な役割
最終構造判断榊真琴全体荷重解析、許容誤差判断、最終実行可否の判断
現場作戦指揮城崎ナギ現場統括、進行管理、退避確認、起爆命令
構造・起爆管制篠宮レイカ荷重監視、妨害経路解析、段階起爆操作
荷重拘束・誘導立花セナS-07《アンカー》による荷重移送、拘束杭設置、張力維持、落下方向誘導
支柱穿孔・障害除去九条カイK-03《ドリルクロー》による支柱穿孔、爆薬設置準備、妨害ワイヤー切断
流路・接続管理選別局・昇降局担当職員流路隔離、接続状態確認、関連設備監視
避難・受入調整選別局担当職員避難対象者の選定、搬送、受入先調整
現場支援昇降局職員資材搬入、仮設支持、通信、退避誘導、機体支援

5.使用設備

5-1.S-07《アンカー》

主な使用機能:

  • 拘束杭発射
  • 極太拘束ワイヤー展開
  • 油圧テンショナー制御
  • 荷重移送
  • 支柱間張力調整
  • 落下方向誘導
  • アウトリガー固定
  • 機体側接続部からのワイヤー緊急分離

5-2.K-03《ドリルクロー》

主な使用機能:

  • 支柱固定
  • 爆薬孔穿孔
  • 起爆装置設置支援
  • 仮設梁切断
  • 障害物除去
  • 応急ワイヤー切断
  • 荷重集中ワイヤーの選択切断

5-3.その他の主要設備

  • 油圧テンショナー
  • 極太拘束ワイヤー6本
  • 拘束杭
  • 仮設支持梁
  • 支柱応力モニター
  • 荷重ベクトル解析装置
  • 起爆装置
  • 段階起爆管制装置
  • 工事用投光器
  • 作戦用通信設備
  • ウレタン試作3号機

6.作戦実施経過

6-1.流路および接続隔離

制御解体に先立ち、B-19地区へ接続する流路および関連設備の隔離を実施した。

主な作業は以下のとおり。

  • 上流遮断弁の閉鎖
  • 下流側流量の停止
  • 圧力変動の監視
  • 液封および異常温度の監視
  • 作戦用昇降路の確保
  • 幹側設備との接続状態確認
  • 切断後に引きずられる可能性がある配管および支持材の確認

隔離作業後も、非登録配管、違法分岐および現地側の手動操作による変動が発生した。

必要な系統については再閉鎖および現場対応を行った。


6-2.第一工程――荷重移送および穿孔

制御解体第一工程として、C-6支柱から作業を開始した。

S-07《アンカー》は拘束杭を設置し、油圧テンショナーを作動させた。

C-6支柱の荷重を拘束ワイヤーへ移し、誘導側であるC-7支柱への荷重移行を実施した。

応力モニター上では、C-6支柱の垂直荷重80%を確認した。

荷重は一時的に振動したが、アンカーが拘束を維持し、規定値へ収束させた。

K-03《ドリルクロー》は識別座標B-19-P06へ到達し、支柱を固定した。

穿孔条件は以下のとおり。

項目記録値
対象C-6支柱
識別座標B-19-P06
支柱外径約2メートル
支柱板厚約50ミリメートル
ドリル径約30センチメートル級
回転数規定固定値
トルク最大
穿孔結果完了

C-6支柱の穿孔完了後、同一手順によりC-5以下の切断対象支柱へ作業を移行した。


6-3.予定外荷重経路の検出

穿孔および荷重移送中、解析上存在しない荷重変動が検出された。

ドリルクローによる振動確認および監視映像の解析から、複数の細径ワイヤーが支柱間に設置され、昇降局側の荷重移送を分散させていることが判明した。

当該工作は、外壁民ボルドによるものと特定した。

ボルドは、少なくとも以下の三経路による荷重逃がしを構成していた。

  1. 支柱間を直接接続する荷重分散経路
  2. 仮設支持梁を介した迂回経路
  3. 複数の細径ワイヤーを荷重集中ワイヤーへ集約する経路

これらの工作により、昇降局が拘束ワイヤーへ移した荷重の一部が別経路へ逃がされ、計画された荷重移送が停滞または後退した。


6-4.ボルドによる遅延工作への対応

ボルドは、新たな細径ワイヤーの設置と、ラチェットによる張力回復を継続した。

昇降局は以下の方法で対応した。

  • ウレタンによる細径ワイヤーの可視化
  • ワイヤー射出口へのウレタン噴射
  • 仮設支持梁の位置確認
  • ワイヤーの音および振動による荷重状態判定
  • 荷重集中点の遠隔解析
  • 荷重集中ワイヤーの選択切断
  • 複数経路の同時緩和
  • 新規ワイヤー設置の阻止

K-03《ドリルクロー》は、ワイヤーを無差別に切断するのではなく、荷重集中ワイヤーを特定して切断した。

これにより、複数の荷重逃がし経路を同時に緩め、荷重移送工程を再進行させた。

ボルドは工作継続が不可能となった後、自ら工具を置いた。

昇降局職員が身柄を確保し、危険区域外へ移動させた。


6-5.遅延時間

ボルドの工作を排除し、制御解体工程を再開した時点で、作戦は基準計画から以下の遅延を生じていた。

27分

当該遅延は、主として以下による。

  • 三経路荷重逃がしの検出
  • 荷重経路の再解析
  • 細径ワイヤーの可視化
  • 荷重集中ワイヤーの特定
  • ワイヤーおよび仮設支持部の除去
  • 移送済み荷重の再調整
  • 支柱応力の再安定化

6-6.最終荷重調整

全切断対象支柱への穿孔および拘束作業が完了に近づいた時点で、C-7支柱側に偏心荷重が検出された。

解析の結果、荷重バランスが十分に補正されないまま起爆した場合、B-19地区がC-7方向へ入らず、都市幹構造側へ回転または横滑りする危険があった。

榊真琴は作業停止を指示した。

S-07《アンカー》は油圧テンショナーを限界出力域まで作動させ、対角側の荷重を強制補正した。

最後の拘束杭を設置し、落下方向をC-7支柱方向へ固定した。

K-03《ドリルクロー》は、残る切断対象支柱への穿孔作業を完了した。


6-7.最終解析

全現場から以下の完了報告を確認した。

  • 切断対象支柱C-1からC-6までの穿孔完了
  • 起爆装置接続完了
  • 拘束杭設置完了
  • 拘束ワイヤー張力調整完了
  • 落下方向C-7側への誘導完了
  • ドリルクロー退避完了
  • 現場作業局員の退避完了
  • 起爆管制接続正常

榊真琴は、最終荷重解析の結果として以下を提示した。

最終解析上の落下誤差 0.8%

0.8%未満まで誤差を縮小するため、追加補正を継続した場合、以下の危険が増大すると判断された。

  • 支柱座屈の進行
  • 拘束ワイヤー破断
  • 油圧テンショナーの限界超過
  • アンカーの固定喪失
  • 地区全体の予期しない回転
  • 起爆前の無制御崩壊

榊真琴は、0.8%を現場条件下における最終許容値と判断した。


7.起爆および制御落下

7-1.起爆承認

最終構造解析の完了後、現場指揮者である城崎ナギは、各担当者および退避状況を確認した。

城崎ナギは篠宮レイカへ爆破シーケンスの起動を命じた。

篠宮レイカは、承認された起爆順序に従って操作を実行した。


7-2.起爆順序

フェーズ起爆対象
第1フェーズ東側C-5、C-4、C-6
第2フェーズ北側C-3、C-2
最終フェーズC-1

誘導側支柱C-7は起爆対象とせず、荷重誘導および落下方向固定の基準として使用した。


7-3.落下開始

第1フェーズ起爆後、東側の質量移動を確認した。

第2フェーズ起爆後、B-19地区の支持荷重はC-1およびC-7側へ集中した。

最終フェーズにおいてC-1を起爆した。

全切断対象支柱の支持を失った後も、B-19地区は直ちには落下せず、数秒間の静止状態を示した。

その後、崩落慣性が限界点を突破し、地区全体の移動が開始した。


7-4.落下方向誘導

落下開始後、S-07《アンカー》は6本の極太拘束ワイヤーを維持した。

拘束ワイヤー張力は以下の順で上昇した。

95%

97%

99%

C-1支柱側へ応力が集中したが、アンカーは拘束を継続した。

崩落方向がC-7方向へ固定されたことを確認した後も、地区全体の回転が収束するまで拘束を維持した。

榊真琴は、これ以上拘束を継続した場合、アンカーがB-19地区とともに落下する危険があると警告した。

城崎ナギは、立花セナへ退避を命じた。

立花セナは、落下経路のガイド完了を確認した時点で、機体側接続部から6本の拘束ワイヤーを一斉分離した。

続いてアウトリガーを解除し、S-07《アンカー》を急速後退させた。

機体は落下範囲から離脱した。


7-5.落下完了

B-19地区はC-7支柱方向へ落下した。

都市幹構造側への大規模な横倒しおよび引込みは発生しなかった。

B-19地区は都市外壁から分離され、黒海へ沈下した。

現地構造の大部分は、粉塵および黒海面下へ消失した。


8.作戦結果

8-1.構造結果

評価項目結果
指定方向への落下達成
最終解析上の落下誤差0.8%
C-7方向への誘導達成
都市幹構造への大規模引込み発生せず
幹側昇降路の致命的破壊確認されず
主幹流路の致命的破壊確認されず
物流支持部の致命的破壊確認されず
隣接区画への連鎖崩壊確認されず
無制御な横倒し発生せず
残存都市機能の再開可能
B-19地区黒海へ沈下

以上により、構造上の作戦結果は成功と判定する。


8-2.局員被害

区分死亡負傷所在不明
制圧フレーム操縦者000
現場作業局員000
管制・解析局員000
避難・支援担当局員000
合計000

S-07《アンカー》操縦者およびK-03《ドリルクロー》操縦者は、ともに生存を確認した。

作戦従事局員の死傷者はゼロである。


9.B-19地区居住者

9-1.登録規模

B-19地区には、作戦前時点で以下の居住登録が存在していた。

5,000名超

当該数値は、B-19地区全体に紐づく居住登録規模を示す。

以下は含まれない可能性がある。

  • 未登録居住者
  • 一時滞在者
  • 登録手続中の者
  • 他地区登録のままB-19に居住していた者
  • 重複登録または名義不一致の者

したがって、作戦時の実居住者数は確定できない。


9-2.所在確認

作戦終了時点において、以下の記録照合は完了していない。

  • 事前避難者記録
  • 緊急搬送記録
  • 第八仮設避難所受入記録
  • 他地区受入記録
  • 医療搬送記録
  • 個別避難記録
  • 家族・扶養関係による照合
  • 未登録者の申告記録

このため、B-19地区居住登録者には所在未確認者が残っている。

「居住登録5,000名超」は、5,000名全員が所在未確認または死亡したことを意味しない。

避難・移送済みの者を含む全登録規模である。


9-3.現地捜索および回収

B-19地区は黒海へ沈下している。

以下の理由から、現地捜索および回収は実施不能である。

  • 黒海の毒性および腐食性
  • 地区構造の水没
  • 昇降経路の消失
  • 大量の構造残骸
  • 継続的な沈下
  • 二次崩壊の危険
  • 回収用設備の接近不能

所在未確認者一覧のうち、最終所在がB-19地区内と推定される者については、現時点で回収の見込みはない。

ただし、回収不能であることは、個々人の死亡が法的または記録上確認されたことと同義ではない。


10.ボルドによる介入の評価

10-1.運用上の評価

ボルドは、昇降局または選別局の指揮命令系統に属さず、承認を受けないまま支柱間に細径ワイヤーを設置した。

当該工作は、昇降局による荷重移送を妨げ、制御解体工程を27分遅延させた。

したがって、作戦運用上は妨害行為に該当する。


10-2.推定目的

監視映像、現場発言および行動経過から、ボルドの主目的は以下であったと推定する。

  • B-19地区の崩壊開始を遅らせること
  • 外壁民の避難時間を確保すること
  • 支柱群の急激な荷重移動を抑えること
  • 地区全体の即時崩壊を防ぐこと

ボルドが制御落下作戦そのものを恒久的に阻止できると判断していたかは不明である。

現場行動からは、作戦を停止させることより、外壁民が逃げるための時間を稼ぐことを優先していたと推定される。


10-3.構造上の再評価

作戦後、ボルドが設置した細径ワイヤー、仮設支持経路および荷重変化記録を再解析した。

その結果、当該工作には以下の作用が認められた。

  • 局所的な荷重集中の分散
  • 支柱間の荷重逃がし
  • 急激な荷重移動の抑制
  • 一部支柱の回転抑制
  • 仮設的な張力経路の形成
  • 崩壊速度の一時的低下

このため、ボルドの工作は制御解体を妨害した一方で、

作戦中に進行していた支柱の座屈および現場全体の早期崩壊を遅らせていた可能性がある。


10-4.因果関係を確定できない理由

座屈進行抑制の因果関係は、以下の理由から確定できない。

  1. 介入前の支柱内部状態が完全には記録されていない。
  2. 設計図に存在しない補強材が多数存在した。
  3. ボルドの工作とアンカーの荷重制御が同時進行していた。
  4. 複数の細径ワイヤーが作戦中に切断された。
  5. 一部の仮設支持材はB-19地区とともに黒海へ沈下した。
  6. 作戦後の現物検証が不可能である。
  7. 27分の遅延自体が座屈進行を悪化させた可能性も排除できない。

したがって、ボルドの工作を、作戦妨害または構造保全の一方だけで評価することは適切でない。


10-5.評価一覧

評価区分判定
指揮命令系統上の位置づけ非承認工作
作戦進行への影響妨害
工程遅延27分
外壁民の避難時間増加あり
荷重分散効果あり
急激な荷重移動の抑制あり
支柱座屈進行の抑制可能性あり
現場早期崩壊の抑制可能性あり
作戦全体への危険増加あり
最終的な構造上の寄与確定不能
本人の処遇別途審査

11.問題点および改善事項

11-1.構造情報の不足

B-19地区では、設計図と現場構造が大きく乖離していた。

今後、外壁地区の制御解体を行う場合、以下を事前に実施する必要がある。

  • 非登録支持梁の調査
  • 仮設支柱の位置確認
  • 荷重逃がし経路の探索
  • 現地職人からの聴取
  • 振動および打音による内部確認
  • 過去の補修記録の収集
  • 外壁側保守記録の検索

11-2.現場知識の不足

選別局および昇降局は、都市全体の構造、荷重および流量を把握している。

一方、外壁民は以下の現場情報を把握している。

  • 支柱の音
  • 振動
  • 腐食箇所
  • 過去の補修
  • 非登録経路
  • 荷重が逃げる方向
  • 設計図に存在しない構造上の癖

今後の類似作戦では、外壁側技術者の現場知識を、妨害排除後ではなく作戦前解析へ取り込む制度を検討する。

ただし、非登録工作を無条件に承認するものではない。


11-3.妨害検出

細径ワイヤーは、暗所および複雑な鉄骨空間では視認が困難であった。

以下を改善対象とする。

  • 細径ワイヤー検出装置
  • 張力異常の自動分類
  • 荷重経路のリアルタイム再計算
  • ウレタン試作3号機の正式評価
  • 射出口封鎖手順
  • 荷重集中ワイヤーの自動特定
  • ドリルクローとの解析共有

11-4.操縦者退避基準

S-07《アンカー》は、張力99%まで拘束を維持した。

落下方向の固定には寄与したが、操縦者および機体が巻き込まれる危険が高かった。

今後、以下を明文化する必要がある。

  • 拘束継続限界
  • 強制分離基準
  • 指揮官による退避命令の優先順位
  • 操縦者判断で拘束を延長できる範囲
  • 機体側ワイヤー分離装置の冗長化
  • 張力情報の全操縦席共有

11-5.居住者情報

居住登録、避難記録および搬送記録の照合に時間を要している。

以下を改善対象とする。

  • 避難時の仮ID発行
  • 避難所間の記録共有
  • 未登録居住者の仮登録
  • 家族単位の照合
  • 搬送先変更履歴の保存
  • 所在未確認と死亡確認の明確な区別
  • 区画消失後も過去記録を保持する論理削除運用

12.責任区分

12-1.責任の分離

本作戦では、以下の責任を区別する。

  • B-19地区を保持対象から外す判断
  • 制御落下方式を採用する判断
  • 最終構造解析を承認する判断
  • 現場作戦を指揮する責任
  • 起爆操作を実行する責任
  • 制圧フレームを操縦する責任
  • 避難および受入れを調整する責任

起爆操作を実行した者、現場で命令を伝達した者または機体を操縦した者へ、最終判断責任を転嫁してはならない。


12-2.責任者一覧

区分氏名責任内容
最終判断責任者榊真琴B-19地区の保持対象除外、制御落下実施、最終解析値0.8%の受容および作戦実行に関する最終判断
現場作戦指揮城崎ナギ作戦進行、現場統括、退避確認、起爆命令、操縦者退避命令
起爆実行篠宮レイカ承認済み起爆シーケンスの実行
荷重拘束・誘導立花セナ荷重移送、拘束杭設置、張力維持、C-7方向への誘導、機体退避
穿孔・障害除去九条カイ支柱穿孔、爆薬設置準備、妨害ワイヤー除去、退避
関連データ・避難調整選別局担当者居住者情報、避難対象、受入先および関連記録の管理

13.最終所見

本作戦により、B-19地区を起点とする都市幹構造の連鎖崩壊は回避された。

B-19地区はC-7支柱方向へ制御落下し、最終解析上の落下誤差は0.8%であった。

幹側昇降路、主幹流路および物流支持部への致命的な連鎖破壊は確認されていない。

作戦従事局員の死傷者はゼロである。

一方、B-19地区には5,000名を超える居住登録が存在した。

避難・移送記録の照合は完了しておらず、所在未確認者が残っている。

B-19地区は黒海へ沈下しており、現地捜索および回収は実施不能である。

都市構造上、B-19地区は保持対象から除外された。

都市運用上、作戦は成功した。

当該成功判定は、所在未確認者の生存または死亡に関する判定を含まない。


14.責任者確認欄

項目内容
作戦結果判定成功
最終解析上の落下誤差0.8%
局員死傷者0名
基準計画からの遅延27分
居住登録規模5,000名超
居住者所在照合継続
最終判断責任確定
責任者署名完了
報告書状態提出済み

作成責任者確認・署名

最終判断責任者

所属 選別局
氏名 榊 真琴

確認事項
・B-19地区の保持対象除外
・制御落下方式の採用
・最終解析値0.8%の受容
・作戦実行に関する最終判断

本人認証 完了
署名

榊 真琴

現場実施責任者

所属 昇降局
氏名 城崎 ナギ

確認事項
・現場作戦の実施経過
・局員退避および生存確認
・起爆命令の発出
・制圧フレーム運用記録
・本報告書に記載された現場事実

本人認証 完了
署名

城崎 ナギ


15.選別執行会議受理記録

項目内容
受理機関選別執行会議
受理区分B-19選別案に基づく実施結果報告の受理
受理日時████年██月██日 ██時██分
受理番号EXEC/B19-RCV-███
受理結果受理
議決受理12/差戻し0
承認範囲からの重大な逸脱確認されず
付帯事項4件/別紙N参照

本記録は、報告書本文の作戦結果判定、最終判断責任または責任者署名を成立させるための承認ではない。

作戦前にB-19選別案を承認した選別執行会議が、承認した範囲内で作戦が実施されたこと、その結果および未完了事項を正式記録として受領したことを示す。

本受理によって、第12章に定める責任区分は変更されない。

15-1.付帯事項

  1. B-19地区居住者の避難、移送および受入記録の照合を継続すること。
  2. ボルドによる非承認工作について、作戦評価とは分離して審査すること。
  3. 外壁側技術者が保有する現場知識を事前解析へ反映する制度を検討すること。
  4. 構造監視、細径ワイヤー検出および異常荷重経路の早期把握手順を改善すること。

16.注記

注1
本報告書の「局員死傷者ゼロ」は、選別局、昇降局、昇降局保安群その他の作戦従事局員を対象とする。B-19地区居住者を含まない。

注2
「居住登録5,000名超」は、B-19地区全体の登録規模を示す。5,000名全員が所在未確認、回収不能または死亡したことを意味しない。

注3
所在未確認者については、避難記録、搬送記録、避難所受入記録および他地区登録との照合を継続する。

注4
ボルドによる座屈進行抑制の可能性は、監視記録および荷重変化から推定されたものであり、現物検証ができないため確定評価ではない。

注5
B-19地区の構造登録廃止後も、居住、作業、納税、医療、避難、物流および保守に関する過去記録は論理削除として保存し、物理消去を行ってはならない。

注6
最終解析上の落下誤差0.8%は、起爆直前の荷重解析および落下予測に基づく確定値である。B-19地区が黒海へ沈下したため、沈下後の現物測量は実施していない。


17.添付資料

  • 別紙A:切断対象支柱配置図
  • 別紙B:C-1からC-7までの荷重推移記録
  • 別紙C:起爆シーケンス実行ログ
  • 別紙D:S-07《アンカー》拘束ワイヤー張力記録
  • 別紙E:K-03《ドリルクロー》穿孔記録
  • 別紙F:ボルド三経路荷重逃がし復元図
  • 別紙G:作戦工程遅延分析
  • 別紙H:局員退避・生存確認記録
  • 別紙I:B-19地区居住登録集計
  • 別紙J:避難・移送・受入照合表
  • 別紙K:所在未確認者一覧
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  • 別紙L:作戦通信記録
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  • 別紙M:構造監査再解析結果
  • 別紙N:選別執行会議付帯事項一覧
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